隣人はだらしない‥‥でも

『細川さん、今週末あなたの歓迎会を
 やりたいのですが、予定はどうで
 しょうか?』


えっ?


ユイさんが先週の経費の領収書を
渡しに来たついでにそう言い、
キーボードを打つ手が止まってしまった


歓迎会なんて、みんな忙しそうだし、
私みたいなアシスタントには
とても勿体無いと感じる


それになるべくオフに山岡さんと
接するのは避けたい。


仕事は当たり前だけど、
私情は持ち込まず迷惑をかけず
やりたいから、上司としてしっかり
向き合えるけど、オフはまだ怖い‥


「予定はないですが、私には
 雇っていただけただけで十分なので、
 嬉しいですが、お断りします。
 ユイさんすみません‥‥」


下手な理由で断っても、上に住んで
いるので居留守さえもバレてしまう。
だから正直な気持ちを伝えたのだ


『‥‥‥山岡と何かあった?』


ドキッ


黒と白の配色とシンプルながらも、
本日もロリータ全開のユイさんは
相変わらず鋭くて、表情から動揺が
伝わらないようにしないといけないから
いつも通りにしないと‥‥


「何もないですよ。
 ただ本当に私には勿体無いなって。
 あっ、あと少しで来客時間でした!
 2階を準備して来ますね。」


天音さんのお客様がもうすぐ見えて、
打ち合わせに使う予定なので、
お茶菓子と飲み物用のお湯を沸かして
おいてすぐ出せるようにするのだ


小さな会社だけど、お客様に出す
お菓子もなるべく好みに合わせたものを
用意している


飲み物も様々で、珈琲、紅茶は勿論の
こと、緑茶、焙じ茶、ハーブティー
など種類も多い。


『たかが打ち合わせだけど、
 おもてなしはしたいから少しだけ
 拘りたい。難しい話ばかりだと
 頭も柔らかくなくなるから、
 結果が良くてもダメでもそこは
 したいんだ。』って言ってたな‥


顧客リストにも記入されている
細かい情報にも感心するほど、
仕事は本当に丁寧なんだよね‥‥


いかんいかん‥‥
空き時間が出来るたびに考えるのが
結果山岡さんの事になってる


アシスタントとしても満足いかない
仕事ぶりなのに、本当に山岡さんは
私を雇って後悔してないのかな‥



『細川さん悪いけど、
 30分後にまた打ち合わせで出るから
 用事があったら今聞くけどない?』



荷物を抱えて戻った山岡さんが、いつの間に帰って来てたのか、私の後ろに立ち
デスクに片手を置いた