隣人はだらしない‥‥でも

片方の手はジュエリーに触れるのを
辞め、逃がさないように私の首に
添えられグッと引き寄せられる


意味?
‥‥もしそこに意味があるとしたら、
独り占め‥‥したいってこと?



ドクドクと煩い心臓の音と、
至近距離で見つめられる視線に目を
閉じると、あっという間に唇が塞がれ
すぐに深いキスに変わってしまった


「ンッ‥‥や‥‥おかさ‥‥」


口内に入り込む舌に翻弄され、
体の力がどんどん抜けていくのを
見計らい、引き寄せられた私は
山岡さんの足の上に座らされ、
そのまま暫く甘いキスを落とされて
しまう


『‥‥‥伝わった?』


クタっとする私は、閉じていた瞳を
開けると美しい顔立ちをした山岡さん
が笑う顔を見て苦しくなっていた
呼吸を整えていく


嫌なのに‥‥拒めなかった‥‥


視線も絡められた指の温度も、
触れ合う唇の生暖かさ、唾液の交わる
生々しい音響、そのどれもに撮影よりも
甘美を感じてしまったから



唇が解放されてホッとしたのに、
ひんやりとした温度は寂しささえ
感じさせている



『もっと茅葵のこと‥‥感じたい。
 嫌なら押し退けて‥‥』


そのまま抱き抱えられると、
薄暗い階段を登った2階にあるソファに
座らされ、そのまま覆い被さる
山岡さんにまた唇を塞がれた


食べられてしまいそうな深いキスを
されたことなんて一度もない


深いキスだってしたことあるのに、
口内を掻き回され痺れたことなんてない



わたし‥‥どうしちゃったんだろう‥
自分で自分が分からない‥‥


それどころか、細川さんという呼び方
が、また茅葵に変わったことさえ
安心してる‥‥


あんな甘美な世界観にどっぷり
浸かってしまったから、きっとこれは
魔法でもかけられてしまったのだ‥‥


そう思い、注がれる甘いキスに
瞳を閉じた



「‥‥ん」


肌寒さに体がブルっと震え、背後に
感じる温かさに体の向きを変えて
擦り寄る


私いつの間に寝てしまったんだろ‥‥


昨日は撮影を目の当たりにして、
現場の雰囲気を感じながらも、
自分の中途半端な姿勢を大いに
反省した半日だった‥‥


ん?
あれ?‥‥結局あの後デザインって
どれに決まったんだっけ?


‥‥そもそもあの後どうやって
帰ってきた?


えっ!?
ちょっと待って!?
今私が寝てる場所って‥‥‥


『ハハ‥‥すごい百面相‥‥』


「‥‥‥‥な、なんで‥‥」