隣人はだらしない‥‥でも

『茅‥‥細川さんにも俺の甘美な
 雰囲気が伝わったんだ‥‥』


「はい‥‥いつもと違う山岡さんに
 ドキドキはしましたから‥‥」


『どんな風に?』


えっ?


腰をグイっと引き寄せられ、
目の前の山岡さんの胸元に触れそうな
距離に慌ててしまう


どんな風にって‥‥‥
どう伝えればいいんだろう‥‥


「わ、私もあんなシチュエーションを
 味わいたいって‥‥‥‥えっ?」


急に近づいて来た山岡さんが、
私の首元に何かを付けると、先ほど
のように顔をグッと近づけてきた


「山岡さん!?こ、これ‥どうして‥」


着けられたそれに長くて細い指を
絡めると、それに唇を落とした後、
私の頬に触れそうなほど唇を寄せ、
至近距離で視線がぶつかった


『どう?‥‥甘美な世界を感じた?』


ドクン


何‥‥この感じ‥‥


今までだってキスされたり、
抱きしめられたり色んなことを
されて来たのに、触れてもいない
この距離に1番心臓がドクドクと
音を鳴らしている


『山岡さん!!ちょっとだけ
 いいですか!?』


ビクッ!!


ハギさんの声に、山岡さんがスッと
離れる間際に頬に触れた手に
また体がブルっと震えた


『細川さん車に乗ってて‥‥
 すぐ戻るから。』


「‥‥‥」


首に着けられたそれを手で触れると、
撮影で使われていた物と同じで、
何故それを山岡さんが私に今
着けたのかすら分からない‥‥



それよりも‥‥これって確か
◯◯万円って記載されてたよね‥


どうしよう‥
甘美どころか、こんな高いジュエリー
身につけたことないから、
壊さないかとかプレッシャーで
一気に青ざめてしまう


幼い頃からオシャレも出来ず
言われたことだけ黙って聞いて
生きて来たから、社会人になって
ようやく買いたいものを少しずつ
増やせるようになった私には
こんな高価なものは扱い方が分からない



『細川さん、お待たせ。
 じゃあ帰ろうか。遅くなったから
 ご飯でも食べて行こう。』


「あ、あの!これ外してください!」


触れるのにも手が震えるほどの
高価な物を少しだけ持ち上げると、
山岡さんが立ち止まり私の目の前まで
ゆっくり歩いて来た


『‥‥こういうの嫌いだった?』


えっ?


『クライアントから貰った物だから
 とっておいてよ。ユイとかもいつも
 貰ってるから。』


そうなんだ‥‥