隣人はだらしない‥‥でも

ハギさんと何かを話している
山岡さんに新田さんも加わり
真剣に何かを打ち合わせしている


プロジェクターを片付けながら、
横目でその様子を伺うと、場違いな
気がするけど、これがきっと
デザインを作るっていうことなんだと
感じてしまった


撮影が始まると、バスローブを脱ぎ
上半身は裸で胸だけヌーブラで
隠した新田さんが背面をこちら側に向けて立ち、正面に立つ山岡さんも
着ていたシャツを脱ぎ裸になっていた


ここまでするとは思ってなかった‥‥



『カメラテストした後本番撮ります』


ジュエリーショップの担当の方から
ネックレスを受け取ると新田さんが
ストレートの髪の毛を片側に寄せ
抱き締めるように屈んだ山岡さんが
ネックレスを着ける仕草を何度も
撮影し、装着した後ネックレスに
指を絡めてそこに唇を触れさせたりと
色々なポーズを撮り始めた


『茅葵ちゃん、悪い。
 右側のライトもう少し近づけて
 反対側から反射板当ててもらえる?』


「は、はい!!」


思わず見惚れてしまうような
2人の空間に近づいてはいけないような
雰囲気すら感じる



「角度どうですか?」


『ちょっと待って‥‥うん、そのままで
 一回撮るよ。次、2人とも前向いて
 山岡さんが後ろから片手で
 抱き締めながらジュエリーに触れて
 貰えますか?』


えっ?


何だろう‥‥
仕事って分かってるのに、山岡さんが
新田さんを抱き締める仕草に、
胸が少しだけ締め付けられていく


私にも裸で抱きついてきたから
あの肌の温もりが分かってるのか、
見ていられなくて俯いてしまう


『細川さん、仕事中だから
 しっかりやってくれない?』


ドクン


膝をついて座っていた私に、
上から送られる冷たい視線が突き刺さり
体が大きくハネる


だらしない姿や、甘い言葉を囁く声。
綺麗な顔立ちや均等のとれている
美しい体型は知っているのに、
こんなにも冷たい目をした山岡さんは
初めてだ‥‥


「す、すいません‥っ、気をつけます」


みんな真剣にやっているのに、
他所ごと考えて迷惑かけるなんて
情けない‥‥


せっかく勉強させてもらえるチャンス
なのに、撮影を止めてしまうなんて‥


立ち上がり頭を下げると、
もう一度ハギさんに確認してから
反射板の角度を聞いた


今は落ち込んでいられない‥‥
泣くのは帰ってからでいいから。