隣人はだらしない‥‥でも

『山岡さん!』


『ハギ、遅くなったな。すまない‥。
 すぐに準備に取り掛かろう。』


『大体は出来上がってるので、
 チェックしがてらお願いします。
 茅葵ちゃんもお疲れ様。』


「お疲れ様です。荷物運びますね。」


テーブルにパソコンや、持って来た
物を取り出し山岡さんの指示に従って
撮影場所に準備を施していく


当たり前だけど、皆さんプロだから、
顔付きが全然違う‥‥


良いものを作る人の顔って
こんなにも魅力的なんだって思うほどに。


『コンセプトだけもう一度確認しよう。
 細川さんも一緒にいい?』


「あ、はい!」


大手ジュエリーメーカーの新作の
リングとネックレスの広告撮影と
言うことは聞いていたけど、
コンセプトがどういうものか
全く分かっていなかった。



『鵜飼さん、すみませんが、
 モデルさん準備が出来ていましたら
 お願い出来ますか?
 あとジュエリーメーカーの担当者の
 方も到着されましたら簡単な
 説明をしてから撮影に入りたいと
 思います。細川さん、ハギに聞いて
 スクリーン用意してもらって?』


「はい、わかりました。」


長い髪をルーズに後ろで一括りに
縛った山岡さんにアッシュドキッと
してしまい慌てて目を逸らす


こんな顔‥‥見たことない‥‥


仕事だから当たり前なんだけど、
心臓がおかしい‥‥なんでこんなに
早くなるの?



暫くするとメーカーの方が見えて、
また名刺交換をすると、扉が開いた
向こうから白いガウンを着たモデルの
新田さんが現れた。


うわぁ‥‥顔小さい‥‥


雑誌やメディアで何度も見てるのに、
生の破壊力は半端ない。


『お疲れ様です。新田です。
 今日はよろしくお願いします。
 ‥‥‥亜耶!!久しぶり!!
 会いたかった!!』


えっ!?


ガウンのまま山岡さんめがけて
走って来た彼女が思いっきり彼に
目の前で抱きつき、その威力に
驚いてそのまま後ろに倒れてしまった


『亜耶のデザインって聞いて、
 二つ返事したんだから。
 今日は綺麗に撮ってね?』


『ああ、勿論だよ。』


地面から見上げるお似合いの2人の
姿が、まるで恋人のようにさえ
思えて動けない私をハギさんが
軽々と起こしてくれた


『大丈夫?』

「えっ?あ、はい!大丈夫です。」


恥ずかしい‥‥こんなところで
コケるなんて‥‥。
オシャレもして来てない自分が恥ずかしくて、思いっきり俯いた。