神に選ばれなかった者達 後編

李優と別れて、自宅に戻ると。

相変わらず、我が家は運動会でもしてるのか、ってくらいの大騒ぎだった。

小さい子達が、ゲームをしたり漫画を読んだり、文句言いながら宿題をしたり…。

これ、我が家の夕方の、いつもの風景。

この時間は、まだパパが仕事から戻ってきていない上に。

ママは例によって、キッチンで、13人分の夕ご飯を作るのに大変だから、子供達の面倒は見ていられない。

放っておいたら、悪戯盛りの子供達のこと、あっと言う間に我が家は崩壊してしまいかねないが。

そんな中で、かろうじて秩序と統制を保っているのは、一人の女の子のお陰である。

「ほら、あなた達座って。ゲームは宿題が終わってからでしょ」

その女の子が、ゲーム機片手に騒いでいた子を床に座らせた。

「もう終わったもん」

「ほんとに?じゃあ見せて」

と言って、小さい子のノートを開いて、宿題をやっているかどうか確認。

それだけではない。

「よし、宿題終わりー」

男の子が宿題を終えるなり、ノートをその場に置いて立ち上がろうとした。

それを見て、すかさず。

「こら。遊ぶ前に宿題を片付けて。ゲームは明日の支度をしてからでしょ。連絡帳は?出したの?」

などと言いながら、男の子と一緒に連絡帳を見ながら、明日の授業で使う道具をランドセルに入れるのを手伝う。

その横で、台所からこっそり持ってきたポテトチップスを、ぽりぽりと食べている子を発見。

「あ、こら!夕飯前なのにお菓子食べたら駄目でしょ」

「うわっ、また見つかった〜!」

「見つかるわよ。全部食べちゃ駄目!片付けなさい」

逃げ回ろうとする下の子の襟首を猫のように捕まえて、すかさずお菓子を奪い取る。

…子供達の扱いに、とても手慣れている。

熟練の保育士って感じ…。

「ちぇっ…。絵里衣(えりい)姉は、ママみたいなんだから」

襟首を掴まれた子が、口を尖らせて言った。

…ほんとにね。

絵里衣と呼ばれた彼女は、この家の第二のママ同然だった。

「当然でしょ。ママは忙しいんだから、困らせちゃ駄目」

と言いながら絵里衣ちゃんは、ぐずっていた一番下の赤ちゃんを、ひょいっと抱き上げた。

「絵里衣ちゃんが下の子の面倒を見てくれるから、本当に助かるわ」

と、一連の子供達のやり取りを見ていたママが、嬉しそうに言った。

ママにとっても、子供達の面倒を見てくれる絵里衣ちゃんは、大事な我が子であると同時に、頼もしい味方でもあるのだ。

自分の目の届かないところを、絵里衣ちゃんが見てくれるのだから。

昔からそうだ。

まだ幼稚園や小学生だった頃から、絵里衣ちゃんは面倒見の良い女の子だったらしい。

とはいえ、何も絵里衣ちゃんは、ママやパパに頼まれたから、下の子の面倒を見ている訳ではない。

自主的に、自分から率先して、その役割を引き受けてくれているのだ。

…ね?良い子でしょ?