神に選ばれなかった者達 後編

…なんて、今日も賑やかな放課後を過ごした後。

部活が終わって、おうちに帰るまでの帰り道。

萌音は、いつも通り李優と一緒に帰っていた。

「今日も楽しかったねー、李優」

「…楽しかったか?あれ…」

李優は楽しくなかった?

萌音は楽しかったけどな。

数年前までは、絶対に有り得なかったであろう幸福だった。

「むしろ、お前を不愉快にさせるんじゃないかって心配だったんだが…」

「?不愉快になんてならないよ?」

「…そうか…」

萌音、李優のこと信じてるからね。

「李優こそ良かったの?」

「何がだよ?」

「折角好きって言ってくれたのに、断っちゃって…」

「…俺、二股する趣味はないからな」

二股、二股…。

そっか。二股になっちゃうのか…。

二人で李優を分け合って仲良く…は出来ないのかな。

「李優は萌音で良いの?」

「…当たり前だよ。分かってるだろ?」

「…そうだね…」

逆の立場だったら、萌音もきっとそう思うだろうから。

おこがましいね。萌音は李優と違って、良いところなんて一つもないから。

萌音が、李優以外の人に「好き」なんて言ってもらえることは有り得ない。

「李優は萌音と…一緒に居てくれるもんね」

「あぁ…。大丈夫、俺はお前の傍から離れない。約束するよ」

…うん、ありがと。

李優は、ぎゅっと萌音の手を握ってくれた。

夢の中でも現実でも同じ。李優のあったかい手。

これまで何度この手に救われ、これから何度この手に救われることになるのだろう。

李優が守ってくれる。だから萌音は、李優を守る。

萌音の為に、傍に居てくれる李優の為に。