神に選ばれなかった者達 後編

「…だってよ、李優君。羨ましいくらい愛されてんな」

「…うるせぇ。ほっとけ」

と言って、李優はラブレターを折り畳んで、鞄の中にしまい込んだ。

そして、くるりと萌音に向き合った。

「良いか、よく聞け萌音」

「うん。なーに?」

「何処の誰が言い寄ってこようと、お前が『別に良い』って言おうと、俺は嫌だからな。俺には、お前だけで充分だ」

…。

…えっ。

「だから、この子の誘いは断る。悪いけど、俺にはもう萌音がいるからごめん、って言うよ」

「…李優…」

「嫌な気分にさせて悪かったな…って、お前は別に嫌な気分にはなってないようだが…」

李優の二人目の恋人さんと、萌音も仲良くしようと思ったのに。

李優は二人目の恋人よりも、萌音一人で良いって言ってくれるの?

…そっかぁ。

「…ありがとう、李優」

「…別に…。…当たり前のことだろ」

…と、ちょっと照れ臭そうに答える李優。

…を、横で見ていたまほろ君達は。

「やべー。甘酸っぱ…!甘酸っぱ過ぎて、口の中に唾が…」

「ちょ、ちょっとまほろ部長。今は邪魔しちゃ駄目ですって」

「このまま末永く爆発して欲しいですね」

…と、言ってた。

…爆発?

「それじゃ李優、その子のお誘いを断るんだね」

「あぁ…。俺も手紙書いて、この子の下駄箱に入れておくよ」

下駄箱でお手紙のやり取り…。

直接渡せば良いのに、二人共照れ臭いんだろうか。

「その子一年生だから、多分、李優君に恋人がいることを知らなかったんだろうな」

「そうですね。同級生だったら、大体李優さんと萌音さんの関係は知ってますから」

成程、そういうことだったのか。

…そういえば…。

「…いつだったか、以前も、李優が他の女の子に告白されたことあったよね」

「あぁ…何度かな…。正直、もう思い出したくないが…」

李優は頭を掻きながら言った。

「さすが李優先輩…。…モテるんですね…」

「やめろって。別にそういうのじゃない。むしろ迷惑してるんだよ…。下手に断ると、目の前で泣かれたりして…」

「あぁ…。それは災難でしたね…」

「…畜生。リア充め」

まほろ君が吐き捨てていた。

李優…結構女の子泣かせだね。

これまで李優に告白した女の子が、全員李優と付き合ってたら。

今頃李優、何人の恋人が出来てただろう。

李優が人気者で、萌音も誇らしい。

「それでも萌音先輩一筋で、萌音先輩だけを大事にしてるんだから…やっぱり、李優先輩は良い人ですね」

「そんなことで褒めんなっつーの」

「さすが、自由研究部で唯一良識のある先輩…」

「おい、ちょっと?後輩君!?それどういう意味!?」

「まほろさんはともかく、俺は良識ある方だと思いますけどね」

小羽根君の聞き捨てならない台詞に、すかさずまほろ君と唱君がツッコミを入れたが。

…。…それ、もしかして萌音も含まれてる?