神に選ばれなかった者達 後編

「良いか、こっちはな…それどころじゃないんだよ」

「わ、分かってるって…。そんな怒るなよ李優君…」

李優の剣幕に、たじたじしているまほろ君。

そんな李優の服の裾を、萌音はきゅっと掴んだ。

「李優、怒ってる?」

「は?」

「李優、怒ってるの?」

「え…いや…。怒っ…。…べ、別に…」

「萌音が悪い?」

「…お前は何も悪くないだろ。…別に怒ってないよ」

良かった。

李優が怒ってるから、どうしようかと思った。

「むしろ、怒るのは萌音さんの方では?」

と、唱君が聞いてきた。

えっ?

「…何で萌音が怒るの?」

「だって、自分の彼氏が、他人からラブレターもらってるのに」

「…」

「ましてや、まったく見覚えのない後輩に。嫌な気分にならないんですか?」

…嫌な気分…。

…に、なる?

「ちょ、唱君。はっきり聞き過ぎだろ」

「そこはオブラートに包みましょうよ」

まほろ君と小羽根君が、慌ててそう言ったけど。

萌音、別に怒ってもないし、気分が悪くなってもないよ?

「何で?だってこの女の子、李優のことが好きだって言ってるんでしょ?」

「そうですよ。嫉妬しないんですか?」

「??萌音も李優が良い人だって分かってるから、この子も李優の良さを分かってくれて嬉しいなー、って思ってるよ」

「…」

一同、ポカン。

…萌音、何か変なこと言った?

萌音が好きな李優を、他の人も好きになってくれて嬉しい。

何だか誇らしい気分になるでしょ?

…ならないの?

「…畜生、こいつら惚気けやがって…」

「仲良しで羨ましいですね」

「天然は最強なんだなって実感しますね」

「…そういう恥ずかしいこと、さらっと言うから…お前は…」

まほろ君、小羽根君、唱君、そして李優の順に言った。

…??恥ずかしいことって何?

「分かってないみたいですけど、この女の人は、李優さんとお付き合いしようとしてるんでしょ」

「そうなの?」

「嫌じゃないんですか?」

「うーん…」

萌音と同じように、この女の子も李優の恋人になろうとしてるのか。

成程…。

「別に嫌じゃないよ。李優が、萌音のこと忘れないでいてくれたら」

「良いのかよ…」

「お互い李優のこと好きな人同士、仲良くなれるかも」

「むしろ、第二夫人と友達になろうとしてるぞ…」

「凄く円満な一夫多妻婚みたいですね…」

一夫多妻?

家族が増えて、何だか楽しそうだね。