神に選ばれなかった者達 後編

例のお手紙を、改めて見せてもらうと。

このお手紙の送り主は、なんと萌音達の一つ下、一年生の女の子。

小羽根君の同級生だね。

その女の子が、女の子らしい丸っこい字で、李優に対する思いの丈をしたためていた。

内容を抜粋すると、こんな感じ。

『この学校に入学して、あなたの姿を廊下で見かけた時からずっと好きでした。』

『一目惚れでした。』

『どうしてもこの思いを伝えたくてお手紙を書きました。』

『私と付き合ってください。』

『お返事を下さい。待ってます。』

…みたいな。

…まず、あなた誰?…って感じだけど。

「ま、マジだ。マジでラブレターだ、これ…!本物だ…!」

「甘酸っぱいですね」

「今時、スマホやパソコンで文字を打つんじゃなくて、手書きで書いてるってところに誠実さを感じますね」

「人生で初めて見たーっ!!」

…唱君と小羽根君は、非常に冷静だったけど。

まほろ君だけは、まるで珍妙な生き物でも見つけたかのように大騒ぎしていた。

「まさか、人生で本物のラブレターを見る機会があるなんて…!」

「何か誤解してるようですけどまほろさん、それあなた宛てじゃなくて、李優さん宛てですよ」

「マジで本物!やべぇめっちゃ興奮する!写真撮っとこ!」

「やめろ」

唱君の冷静なツッコミもスルーし。

スマホを取り出して、お手紙の写真を撮ろうとしたところを、李優に止められていた。

大騒ぎだね。

「君ら、何でそんなに冷静なの!?」

…冷静なの、って聞かれても…。

「…だって、別に自分宛てじゃありませんし」

「ラブレター…僕はもらったことないですけど、加那芽兄様、じゃなくて、兄がもらってるのを見たことがあるので…そんなに珍しくないって言うか…」

「…」

「…あっ、済みません…」

…一気に下がる、まほろ君のテンション。

「畜生、このリア充共がよ…」

「…リア充なのは加那芽兄様であって、僕じゃないですけどね…」

すると、唱君がこう言った。

「大体他人宛てのラブレターなんて、まほろさんに関係ないじゃないですか」

「違うの!ラブレターを見るってことが大事なんだよ。他人宛てだってことは百も承知!自分は絶対もらえないんだもん、せめて他人のを見るしかないだろ!?」

またしても逆ギレ。

「…それ、むしろ虚しくなりません?」

「…」

そして、またしても意気消沈。

…忙しい人だね。

「…お前ら、他人事だと思って適当言ってんじゃねぇぞ」

李優が、怒りを滲ませながら言った。