神に選ばれなかった者達 後編

「ちょ、おま!返せよ」

「あーはいはいダメダメー。唱君、パス!」

「こらっ!」

李優が取り返そうとすると、まほろ君は唱君にお手紙をパス。

更に、唱君はひらひら舞うそのお手紙をパシッと受け取るなり。

「はい、じゃあ小羽根さん、パス」

「え、えぇっ?」

今度は、小羽根君にパスした。

咄嗟に受け取った小羽根君は、そのお手紙に視線を落とし。

「…えっ…!」

…と言った。

…その「えっ」は何?

「小羽根…!お前、見たな…!?」

目を吊り上げる李優。

「す、済みません…!決して、そ、そんなつもりはなかったんですけど…」

慌てて、小羽根君は李優にお手紙を返した。

「ご、ごめんなさい。勝手に見ちゃって…」

「いや…お前は悪くない。悪いのは、そこの盗っ人まほろだ」

「てへぺろ」

「笑って誤魔化すな」

李優のこめかみに、ピキピキと血管が浮いている。

怒っちゃったー…。

「ついでに言うと、俺もちらっと見ちゃったんで。既に共犯者ですね」

と、唱君。

唱君も見ちゃったんだって。

…もしかして、見てないの萌音だけ?

「…萌音だけ仲間外れ…」

「は?お前何言って、」

「小羽根君。お手紙、なんて書いてあったの?」

「えぇっ!?」

萌音は、ちょいちょい、と小羽根君の服の裾を引っ張った。

こうなったら、小羽根君に教えてもらおう。

萌音だけ仲間外れは嫌。

しかし、小羽根君は。

「いや、あのー…。そ、それはどうなんでしょう…」

「…?」

「あ、あの…た、大したことじゃないんですよ。ほんと、あの、大したことじゃ」

何故だか、視線をぐるぐる彷徨わせながら、必死に言葉を取り繕っている。

…何で?

「大したことじゃないなら、教えてくれても良いでしょ?」

「うぅっ…。そ、それはそうなんですけど…」

「…駄目なの?」

「…萌音先輩は…その、知らない方が良いんじゃないかと…」

「…」

やっぱり萌音だけ仲間外れなんだ。

しょぼーん…。

「す、済みません萌音先輩。わ、悪気がある訳では…」

「…良いんだ、小羽根。分かってる。悪かったな、気を遣わせて」

李優は、小羽根君の肩にぽん、と手を置いた。

それから、くるりと萌音に振り向き。

「…萌音、あのな。お前も気を悪くして欲しくないんだが」

「うん。なーに?」

「…これ、本当にラブレターだった」

「…ほぇー」

果たし状じゃなかったんだ。…良かった。