神に選ばれなかった者達 後編

「まほろ君、知ってるの?」

「いや、だってどう見ても、それ…!」

…?

なんか…多分、お手紙だね。

李優にお手紙…お手紙…。

「…果たし状?」

萌音が聞いた瞬間、李優とまほろ君がずっこけた。

わー。漫才師みたい。

「ちげーよ!」

と、叫ぶまほろ君。

えっ、違うの?

「何処の誰が、俺に果たし状を送りつけてくるんだよ…。それも、こんな可愛い封筒で…」

李優も呆れていた。

「そっか…。李優に決闘を挑みたかったら、正々堂々と『たのもー!』ってした方が良いもんね」

「お前は決闘と道場破りを混同してるな…」

えっ、違うの?

ごめん、違いがよく分かんないや。

でも、いずれにしても李優を倒したいんでしょ?

「大丈夫だよ、李優。その時は萌音も一緒に戦ってあげるから」

李優だけを戦わせたりはしないよ。萌音も一緒に戦うよ。

大丈夫、夢の中の経験で、痛いのは慣れてるから。

現実でも、頑張って戦うよ。

しかし。

「あのな、萌音、違う。そうじゃない」

「…??」

「…仮に果たし状だったとしても、戦わねーよ…」

そうなの?

李優と萌音だったら、どんな相手でも倒せると思っ、

「ちげーよ、君ら!もうちょっと真面目に考えたらどうなんだ!?」

そこで、まほろ君にそう怒られた。

「お前にだけは言われたくない台詞だったな。真面目から程遠い男が何言ってんだ?」

「あれ?聞こえないなー。自分、なーんにも聞こえなーい」

誤魔化しちゃってる。

「果たし状じゃねーよ。これ、ラブレターだろ…?」

ら…。

…ラブレター?

萌音と李優は、互いに目を見合わせた。

…そうなの?

「やっべ、リアルで初めて見た…!マジで靴箱に入れることとかあるんだ…!」

まほろ君だけが、妙に興奮してる。

「下駄箱にラブレター入れてもらうなんて、このリア充め!頼む、開けてくれ!自分にも見せてくれ!気分だけでもリア充を味わわせてくれ!」

「…うるせー…」

李優は、きゃんきゃんと喚くまほろ君をジト目で見ながら耳を塞いでいた。

「後でな。これから俺、萌音に古典の単語テスト教えないといけないんだよ」

と言って、李優はラブレター(?)を、鞄の中に放り込んだ。

そうだった。萌音、お勉強しなきゃ。

「ラブレターを後回しにするなんて…!これがリア充の余裕…!?」

「何言ってんの、お前…?」

「じゃ、放課後!放課後に見せてくれよ。今日からウチの部活、李優君のラブレター開封部にするから!」

「やめろ」

その部活、今日一日で終わっちゃわない?