神に選ばれなかった者達 後編

「『処刑場』によると、ポンコツスナイパー…じゃなくて、ふぁにが一階、空音兄妹が二階、響也とみらくが三階…」

と、冷静に分析する李優。

わー。真面目だ。

「…じゃあ、消去法で…俺達は四階にいる、ってことになるのか?」

「…そうなの?」

「…だって、四階建てなんだから、そうなるだろ?」

そうだね。…理屈の上ではそうなる。

でも…何だろう。変な感じ。

「…萌音、何だかそれ違う気がする」

素直に、率直に言葉にすると。

「そうか。…実は、俺もそう思う」

李優も、萌音と同じことを考えていたらしい。

良かった。違和感を感じたのは萌音だけじゃなかったらしい。

「響也の情報は嘘じゃないだろう。あいつが言うことなら、きっと確かなんだ」

命懸けで得た情報だもんね。

それは、それだけは無駄にならない。

「だけど…俺達が四階にいる、っていうのはどうも腑に落ちない。上手く言葉に出来ないが…」

「うん」

だって、あの部屋。

「窓が一枚もなかったもん」

「…!」

李優は、そのことには気づいていなかったらしく。

驚いた表情で、こちらを振り向いた。

「窓…。…そうだ、昨日の部屋…窓が一枚もなかった。灯りがついていても、暗い印象があったのはそのせいか…」

暗い密室、って感じだったもんね。

四階だけ一枚も窓をつけず、密室にする…なんてこと、ある?

そんな病院ってあるの?

「それに…凄く空気が淀んで、じとじとしてた」

「あぁ…凄く換気が悪い感じだった。病院なのに…」

病院で換気が悪いのは駄目だよね。色んな病気が蔓延しちゃうよ。

「これは推測なんだが…。昨日俺達がいたのは、四階じゃなくて…地下、なんじゃないか?」

と、李優が言った。

…地下…。

成程、そう考えたら納得出来るね。

「地下…か。あの病院、地下があるの?」

「…多分…推測だけどな」

「でも、響也くん、地下があるなんて一言も言ってなかったよ」

あの子、フロアマップを見たんだよね?

それで、建物が四階建てだって推測してた。

「そうだな。多分響也が見たフロアマップには、地下の存在は記載されていなかったんだろう」

「…そんなことってあるの?」

「…それは分からない」

だよね。ごめん。

夢の中の病院なんだから、現実では到底有り得ないことでも、何でもアリだよね。

「でも…地下にあるのは死体置き場と焼却炉だからな。地下の存在を敢えて隠そうとしている、ってことは充分考えられるだろ」

「うん…そうだね」

つまり萌音と李優は。

あの闇と謎に包まれた病院の中にある、もっとも暗部に忍び込んでる、ってことになる。

わー、闇が深い。

そして、建物の四階に何があるかについては、今のところ情報無しってことだね。

わー、謎が深い。

しかも、皆で情報共有したくても、フロア間の移動は一切出来ないと来た。

わー、八方塞がり。

「…やれやれ。またしても、前途多難だな…」

と、李優は溜め息混じりに言った。