神に選ばれなかった者達 後編

広い広い部屋の奥。

そこに、さっき萌音が殺したみたいなバケモノ忍者が、何やら忙しく作業をしていた。

忙しそうにしてるってことは、これはチャンスなのでは?

「李優、奇襲しよう。二人で協力して、不意打ちであいつらを殺せば…」

「駄目だ。お前、自分が今手負いだってこと忘れてるだろ」

あ、そうだった…。

でも、李優と一緒なら大丈夫だと思ったんだけどな。

「まずは情報集め、偵察だ。今夜はもう、戦うのは禁止」

「…むー…」

「不満を言うな」

「…分かったよ、もー…」

倒せる敵は倒せる時に倒す。っていうのが萌音の信条だったんだけどなぁ。

仕方ない。李優がそう言うなら…我慢しよう。

で、情報集めだよね…?

…あの人達、あそこで何やってるんだろう…?

ここからじゃよく見えないけど、でも。

彼らは二人一組になって、何かを運び。

それを、暗い穴蔵?の中に、ポイッと放り込んでいるように見えた。

部屋の中はあんなに静まっていて、しかもじとじとしているのに。

何故かあの部屋の奥からは、熱気が漂ってきていた。

そしてそれ以上に、顔を覆いたくなるほどの異臭が、あの奥から漂ってきていた。

この匂い…。知ってる。

人を焼く匂いだ。

…まさか…。

李優と顔を見合わせながら、多分萌音達は、同じことを考えていた。

…死体、焼いてるんだ。あそこで。

穴蔵だと思ったあれは、多分…人を焼く為の窯。

その窯の中に、ぎゅうぎゅうに死体を詰め込み。

火力を最大にして、窯の蓋を強引に閉める。

そこまでやって、ようやくやれやれ、とばかりに。

バケモノ忍者達は、億劫そうにその場を立ち去った。

…そりゃ、そんな暑そうな格好でこんな作業してたら、疲れもするよ。

彼らは明らかに、こちらに気づいていないようだし。

やっぱり奇襲を仕掛けたかったけど、李優に怒られそうだから我慢。

その代わり。

「…行ってみよう、萌音」

「うん」

バケモノ忍者達が立ち去るなり、李優が萌音に声をかけてきた。

ここぞとばかりに、萌音達は隠れるのをやめ、窯の方に向かった。