神に選ばれなかった者達 後編

それにしても、と李優は言った。

「こいつらが、今回のバケモノか…」

…うん。

李優は、萌音が倒したバケモノ忍者の死体を見下ろした。

「ゾンビよりは、まともな人間に見えるが…」

「これって人間なのかな?」

「人間…じゃないのか?見た目は人間っぽいけど…」

「でも、ここに乗ってるのは多分、人間じゃないよ」

と言って、萌音はストレッチャーの上の子供の死体を指差した。

さっき萌音が拳銃で撃ったせいで、バラバラになってるけど。

そこに横たわっているのは、人間じゃない。

不気味な匂いを発する、かつて人型だったであろう肉の塊だった。

「さっきの忍者と、この子供と…どっちがバケモノなんだろう?どっちも?」

「…分からないな。もう少し、情報を集めた方が良い」

うーん、そっか。

まぁ、この世界、来たばっかりだもんね。

「萌音、もう無理はするなよ。怪我してるんだから」

「ふぇ?でも…」

「良いから。偵察なら俺がするから、お前は俺の後ろに隠れてろ」

「…。…男尊女卑だー」

「…ちげーよ…」

仕方ない。李優がそう言うなら。

李優に甘えて、後ろをついていくとしよう。

こそこそ。

「それじゃ李優、これ、萌音の代わりに使って」

「あ…?何?」

萌音は、さっきバケモノ忍者から奪った拳銃を李優に渡した。

凄い強い武器だよ、これ。

「さっき、そいつから奪ったの。もし敵に見つかったら使って。強いよ」

「マジかよ…。でも、一体あと何発入ってるんだ?」

えっ?

…そういえば。拳銃だったら弾丸の装填数、っていうのがあるんだっけ。

それは注意して使った方が良いかもね。

「最初に萌音に撃った一発…。それから、そこのバケモノ忍者を倒すのに二発…。あと、死体に撃ったのと合わせて、四発は使っちゃったな…」

「そうか…。元々何発装填されてたのか分からないが、残りは少ないと思っていた方が良いかもな」

無限に撃てたら、話は楽なんだけどね。

あるいは水鉄砲みたいに、残弾数を目視で確認出来たら良かったんだけど。

「もし拳銃が使えなくなったら、また萌音が戦うよ」

「良いから、その時は無理するな。極力見つからないように、隠れながら行くぞ」

むー。

隠れるのは萌音の流儀じゃないけど、怪我をしている以上は仕方ないか。

じゃあ、李優の後ろにくっついていこうっと。

李優が一緒にいてくれたら、何だか勝てそうな気がしてきた。