神に選ばれなかった者達 後編

学校でのゾンビ退治が、ようやく終わったと思ったら。

次にやって来たのは、何やら薄暗い場所だった。

…。

…何処だろ?ここ。

きょろきょろ。

…暗くて、よく見えないや。

でも、学校じゃないことは確かだ。

ってことは、やっぱりゾンビは倒したんだね。

ここは新しい夢の中なんだ。

「…ふーん…」

いきなり襲い掛かってこられなくて良かった。

じゃ、まずはいつものアレをしよう。

萌音は、周囲をきょろきょろ見渡した。

何か落ちてないかなー、って。

あるいは、何か使えそうなもの。

何でも良いんだけどな。何なら…お掃除用のホウキとかでも良い。

丸椅子の一個でも転がっててくれれば、それを使うんだけど。

しばらく薄暗い空間の中をきょろきょろしていると、段々と目が慣れてきた。

…どうやら、ここはとんでもなく広い空間のようだ。

奥にながーい、大きな部屋。

よく見ると、部屋の隅の方に、ガラクタがまとめて投げ込んであるのを発見した。

よし。漁ろう。

ゴミ漁り。ごそごそ。

古びた段ボール箱や、ちぎれた細長い布切れみたいなものが丸めてある。

…何これ?

赤黒いシミのようなものが、点々と…。

これは…血の痕、かな?

何だか、早速物騒だね。

布切れはさすがに使えそうにないので、段ボール箱の方を開けてみる。

その中には、古びた紙切れがたくさん入っていた。

…また変なものが出てきちゃったな。

暗がりの中で見えづらいけど、目を凝らして読んでみる。

紙切れにはびっちりと文字が書いてあったけど、私には読めない字だった。

…うーん。これ、何語なんだろう…?

段ボール箱の中に入っているのは、ひたすら紙切ればかりだった。

他に使えそうなものは、何もない。

他にも、いくつもの段ボール箱も開けてみたけど。

埃を被った段ボール箱の中には、やはり紙切れしか入っていなかった。

紙がいっぱい…。

溜め込む前に捨てた方が良いと思うよ。ゴミが溜まっちゃうからね。

「…うーん…」

どうしよう。何も見つからないな。

…え?萌音が今、何をしてるのかって?

…武器探し。

萌音、いっつも最初に武器がないから、戦う為には武器を探さなきゃいけないんだ。

…その時。

「…!」

複数の、何者かの足音が聞こえてきて。

萌音は、すぐさまそちらの方向を見た。