神に選ばれなかった者達 後編

――――――…立ち塞がるバケモノ達を、続けざまにバタバタと薙ぎ倒していく。

身体や顔に返り血が付着しようと、まるで構わずに突き進む。

その姿は、まるで戦の女神。

…いや、鬼神のようでさえあった。

「…」

俺は空の世界から、そんな彼女の様子を眺めていた。

…すると。

「また見ているのですか」

「…リューイ…」

声がして振り向くと、そこに俺の同類…仲間がいた。

「新しい悪夢に…皆、戸惑っているようだ。…彼女以外は」

「…確かその少女…。…生まれた時から…」

「…あぁ」

彼女は、賽の目に選ばれた。

俺が振った賽に、一番最初に選ばれた人物だ。

だから、だろうか。

一体どのようなバケモノを前にしても、決してひるまない。決して怯えない。

…まるで、痛みも苦しみも、何も感じていないかのように。

久留衣萌音。

彼女は、恐らく最高の生贄だ。

俺としては、彼女のような生贄を選定出来たことを、喜ぶべきなんだろう。

でも、とてもじゃないが喜ぶことなど出来ない。

彼女は生贄に選ばれたせいで、自らの運命を狂わされた。

俺は彼女を見る度に、彼女を頼もしく思うと同時に、酷く心が痛む。

だって。





…彼女を心無き殺人鬼にしてしまったのは、この俺のせいなのだから。