情けないが、俺は眞沙に手伝ってもらって、何とか上体を起こした。
たったそれだけのことなのに、酷く疲れる。
早くも、体力を使い果たした気分だ。
「大丈夫か?響也兄ちゃん…。気分は?」
「あぁ…。悪くないよ」
これは嘘ではなかった。
身体は重いが、しかし気分の方は晴れ晴れとしている。
現実への「侵食」がなくなったせいだ。
みらくが黒衣人間達を倒してくれたお陰だな。
大袈裟な言い方だが、世界が明るく見える。
「侵食」のない世界は、こんなに綺麗だったんだな…。
「そっか…。…昨日、あの女の人が来てくれたお陰かな」
「…女の人?」
「響也兄ちゃんの友達だって言ってたけど」
…誰のことだ?
「その話、詳しく聞かせてくれないか」
「え?う、うん…」
その時になって初めて、俺は。
現実で、みらくが俺の居場所を探し求め、会いに来てくれていたことを知った。
…そうだったのか。
そうだったのか…。
わざわざ俺を探して来るなんて、大変だったろうに。
今夜会ったら、礼を言わなきゃいけないな。
「そうか…。教えてくれてありがとう」
「うん…。それは、別に良いんだけど…」
「…どうした?」
「響也兄ちゃん…。何で、こんなに長い間…ずっと眠ってたんだ?」
「…」
…それは…当然の疑問だな。
しかし、この質問に答えるのは非常に難しい。
悪夢のせいで…と言って、理解してもらうのは困難だろう。
「もしかして…響也兄ちゃん、何かまた…辛いことがあったんじゃ…」
「…気にしなくて良い」
辛いことはたくさんある。数え切れないくらい。
でも、それは現実から逃げる理由にはならない。
…それに。
「大丈夫だ。俺はもう一人じゃない。それから…」
「…それから?」
「…約束したんだ。だから、その約束を守らないとな」
みらくのことを、一人にしないと。
だから俺は、もう眠っている訳にはいかない。
彼女が現実にも、悪夢にも立ち向かうと言うなら。
俺も同じように、同じものに立ち向かおう。
そうすれば俺は今度こそ、少しくらい、自分で自分を価値のあるものだと思えるかもしれないから。
負けて悔しい花一匁Ⅳ END
たったそれだけのことなのに、酷く疲れる。
早くも、体力を使い果たした気分だ。
「大丈夫か?響也兄ちゃん…。気分は?」
「あぁ…。悪くないよ」
これは嘘ではなかった。
身体は重いが、しかし気分の方は晴れ晴れとしている。
現実への「侵食」がなくなったせいだ。
みらくが黒衣人間達を倒してくれたお陰だな。
大袈裟な言い方だが、世界が明るく見える。
「侵食」のない世界は、こんなに綺麗だったんだな…。
「そっか…。…昨日、あの女の人が来てくれたお陰かな」
「…女の人?」
「響也兄ちゃんの友達だって言ってたけど」
…誰のことだ?
「その話、詳しく聞かせてくれないか」
「え?う、うん…」
その時になって初めて、俺は。
現実で、みらくが俺の居場所を探し求め、会いに来てくれていたことを知った。
…そうだったのか。
そうだったのか…。
わざわざ俺を探して来るなんて、大変だったろうに。
今夜会ったら、礼を言わなきゃいけないな。
「そうか…。教えてくれてありがとう」
「うん…。それは、別に良いんだけど…」
「…どうした?」
「響也兄ちゃん…。何で、こんなに長い間…ずっと眠ってたんだ?」
「…」
…それは…当然の疑問だな。
しかし、この質問に答えるのは非常に難しい。
悪夢のせいで…と言って、理解してもらうのは困難だろう。
「もしかして…響也兄ちゃん、何かまた…辛いことがあったんじゃ…」
「…気にしなくて良い」
辛いことはたくさんある。数え切れないくらい。
でも、それは現実から逃げる理由にはならない。
…それに。
「大丈夫だ。俺はもう一人じゃない。それから…」
「…それから?」
「…約束したんだ。だから、その約束を守らないとな」
みらくのことを、一人にしないと。
だから俺は、もう眠っている訳にはいかない。
彼女が現実にも、悪夢にも立ち向かうと言うなら。
俺も同じように、同じものに立ち向かおう。
そうすれば俺は今度こそ、少しくらい、自分で自分を価値のあるものだと思えるかもしれないから。
負けて悔しい花一匁Ⅳ END


