「お二人共…怪我をしてるんですか?」
空音のぞみが、俺とみらくを見ながら聞いた。
…そうだ。空音のぞみに頼み事をするつもりだったのだ。
「俺のことは良い。怪我をしてる訳じゃない」
「でも、萌音さんに背負われてるじゃないですか」
「これは…。…ただの疲労だ。しばらくすれば治る」
「だけど…」
なおも食い下がろうとする空音のぞみを、遮るようにして。
「それよりも、みらくの方が重傷だ」
と、俺はみらくを指差した。
「ちょっと、この場に下ろすぞ」
「…うん…」
俺達はエレベーターから織りて、李優がその場に、そっとみらくを降ろした。
みらくはしんどそうに、床に横たわった。
その顔は、真っ青になっていた。
「…!どうしたんですか、この傷…」
「あはは…。ちょっと…名誉の負傷だよ…」
みらくは笑いながら、茶化すように答えた。
…俺を助けることを、名誉などと言うな、みらく。
「俺を助けようとして…手榴弾を使ったそうなんだが、その時に…」
「そうか…。それで、こんな酷い傷を…」
「…多分、みらくはこのまま放っておいたら、朝まで持たないと思う」
李優が冷静に、そう言った。
のぞみも気づいているだろう。
みらくの左腕に、ひときわ大きな破片が突き刺さっていることに。
そのせいでみらくの左腕は、おかしな方向にぐしゃっ、と曲がってしまっている。
出血はそれほどではないが、耐え難い痛みを発しているはずだ。
「それで、のぞみ。お前を探してたんだ…。申し訳ないが、みらくを治してやってくれないか」
「はい、分かりました」
李優が申し訳なさそうに頼むと、空音のぞみは一も二もなく即答した。
本当に…治せるのか。
俺は、まだこの目で見たことがないが…。
しかし。
「…のぞみ…!駄目だ、あの力を使うのは…」
空音のぞみの兄である、空音いそらがそれを止めた。
「止めないで、お兄ちゃん」
「止めるに決まってるよ。彼女のことは気の毒だけど…でも、そのせいでのぞみが痛い思いを…」
「お兄ちゃんがなんて言っても、今回ばかりは聞かないから」
きっぱりと、のぞみは兄の言うことに首を振った。
「私に出来ることは、このくらいしかないんだから…。やらせて、お兄ちゃん」
「…でも…」
「大丈夫。傷は深いけど、範囲はそんなに広くないから…。そんなにたくさんの血は要らない」
そう言うなり。
「萌音さん、何か、刃物持ってないですか?」
「拾ったメスで良ければ、どうぞ」
「ありがとうございます」
のぞみは、萌音からメスを受け取り
そのメスを、自分の手のひらに突き刺した。
切れ味の良いメスが、のぞみの柔らかな皮膚を切り裂いた。
空音のぞみが、俺とみらくを見ながら聞いた。
…そうだ。空音のぞみに頼み事をするつもりだったのだ。
「俺のことは良い。怪我をしてる訳じゃない」
「でも、萌音さんに背負われてるじゃないですか」
「これは…。…ただの疲労だ。しばらくすれば治る」
「だけど…」
なおも食い下がろうとする空音のぞみを、遮るようにして。
「それよりも、みらくの方が重傷だ」
と、俺はみらくを指差した。
「ちょっと、この場に下ろすぞ」
「…うん…」
俺達はエレベーターから織りて、李優がその場に、そっとみらくを降ろした。
みらくはしんどそうに、床に横たわった。
その顔は、真っ青になっていた。
「…!どうしたんですか、この傷…」
「あはは…。ちょっと…名誉の負傷だよ…」
みらくは笑いながら、茶化すように答えた。
…俺を助けることを、名誉などと言うな、みらく。
「俺を助けようとして…手榴弾を使ったそうなんだが、その時に…」
「そうか…。それで、こんな酷い傷を…」
「…多分、みらくはこのまま放っておいたら、朝まで持たないと思う」
李優が冷静に、そう言った。
のぞみも気づいているだろう。
みらくの左腕に、ひときわ大きな破片が突き刺さっていることに。
そのせいでみらくの左腕は、おかしな方向にぐしゃっ、と曲がってしまっている。
出血はそれほどではないが、耐え難い痛みを発しているはずだ。
「それで、のぞみ。お前を探してたんだ…。申し訳ないが、みらくを治してやってくれないか」
「はい、分かりました」
李優が申し訳なさそうに頼むと、空音のぞみは一も二もなく即答した。
本当に…治せるのか。
俺は、まだこの目で見たことがないが…。
しかし。
「…のぞみ…!駄目だ、あの力を使うのは…」
空音のぞみの兄である、空音いそらがそれを止めた。
「止めないで、お兄ちゃん」
「止めるに決まってるよ。彼女のことは気の毒だけど…でも、そのせいでのぞみが痛い思いを…」
「お兄ちゃんがなんて言っても、今回ばかりは聞かないから」
きっぱりと、のぞみは兄の言うことに首を振った。
「私に出来ることは、このくらいしかないんだから…。やらせて、お兄ちゃん」
「…でも…」
「大丈夫。傷は深いけど、範囲はそんなに広くないから…。そんなにたくさんの血は要らない」
そう言うなり。
「萌音さん、何か、刃物持ってないですか?」
「拾ったメスで良ければ、どうぞ」
「ありがとうございます」
のぞみは、萌音からメスを受け取り
そのメスを、自分の手のひらに突き刺した。
切れ味の良いメスが、のぞみの柔らかな皮膚を切り裂いた。


