神に選ばれなかった者達 後編

エレベーターが使えるようになった、というのは本当だった。

「凄いな…。一体どうやったんだ…?」

「くノ一さんに手伝ってもらった」

…そういえば、さっきもそう言ってたな。

「でも、ボタンの文字が分からないの」

ボタン?

エレベーターの中には、ボタンが5つあった。

…5つ…?

「ここが三階で…。…李優と萌音がいたのは何階なんだ?」

「萌音と李優は、地下にいたの」

地下だと?

この建物、地下があったのか。

成程、ボタンが5つもあるのはそのせいか。

一〜四階、プラス地下。実質五階建てのようなものだな。

そして、空音兄妹がいるのは…。

「…二階だったな」

「響也君、どれが二階のボタンか分かる?」

「分からないが…。順当に行けば、ここなんじゃないか?」

俺は、下から3番目のボタンを指差した。

一番下のボタンが地下、その上が一階、その上が二階…と、考えれば。

違っていたとしても、また別のボタンを押して確かめれば良い。

それに、一階に行けば、ふぁにに会えるしな。

「よし、じゃあこのボタン押そっと」

「ちょ、待て萌音。もう少し考え、」

「ぽちっ」

「あぁ、話を聞かねぇ…!」

もう押してしまった。

ういーん、とエレベーターの扉が閉まる。

「…どうだ?」

「下に参りまーす」

萌音がそう言うと、エレベーターは本当に下に降り始めた。

…もしかして、正解なんじゃないか?

エレベーターはすぐに止まって、扉がゆっくりと、重々しく開いた。

その瞬間。

「…えっ!?」

「おっと。危ない」

俺と萌音の目の前に、鉄パイプがフルスイングされた。

しかし、萌音はすんでのところで、しゃがんで回避した。

…これぞ神回避、という奴か。