神に選ばれなかった者達 後編

「萌音…。良い方法って?」

「のぞみちゃんに助けてもらおう」

「あ…そうか。その手があったか…」

のぞみ…。

空音兄妹の、妹の方だよな?

「でも、いそらが反対するんじゃないか…?」

「全身の傷を全部治す必要はない。左腕の、この怪我だけで良い」

と、萌音はみらくの傷を確かめながら言った。

「深く突き刺さってるけど、傷の範囲は広くないから。多分、そんなに負担にはならないと思うよ」

「…そうか…。…心苦しいが、頼んでみるか」

…申し訳ないが、二人が何を話しているのか分からない。

「どういうことだ…?」

「あぁ…。ごめん、響也とみらくは、まだ知らないんだったな」

「何を?」

「のぞみの武器…と言うか、能力のことだよ」

そういえば。

空音兄…いそらの方は、鉄パイプという武器を持っているが。

空音妹、のぞみは武器を持っているようには見えなかった。

敢えて、こちらから聞くことはなかったが…。

「あの子、人の怪我を治せるの」

「…!そんなことが出来るのか?」

「夢の中限定の能力だよ。無償ではないけど…みらくちゃんの怪我を治すことは出来るはず」

人の傷を治せる…。

…にわかには信じられないが、ここは何でもありの夢の中。

そんな便利な能力があるのなら、是非とも使わせて欲しい。

みらくを苦しめたくはない。

「だから、のぞみちゃんのところに行こう。四人で」

「…分かった。そうしよう」

俺がもっと…自分で動けるほど、頼り甲斐があれば良かったんだが。

情けないことに、今の俺は、久留衣萌音の背中に背負われているだけだった。

「みらく…立てるか?俺が背負おうか」

「大丈夫…。肩を貸してくれたら、自分で歩けるから…」 

みらくは苦しそうにしながらも、何とか自分の足で立ち上がり。

李優に肩を貸してもらって、歩き出した。

…ただ萌音に背負われているだけの自分が、非常に情けないな。

満身創痍のパーティーだ。

「よーし。じゃ、さっきのエレベーターに戻ろうか」

「あぁ」

李優に背負われたまま、俺は呪われた手術室を出た。