神に選ばれなかった者達 後編

その頼もしい仲間のお陰で、俺は何とかついていけそうだったが。

問題は、俺ではなく。

「…う…」

「…!みらく?」

突然、みらくが苦痛に表情を歪ませ。

その場に崩れ落ちるように、膝をついた。

「あれ…。変だな、身体から…力が抜けて…」

「みらく、大丈夫か…!?」

「う、うん。だいじょう…」

ぶ、と言いながら、再び立ち上がろうとしたが。

それは叶わず、むしろ、更に苦しそうに呻き声を漏らした。

…一体どうしたんだ。

「みらく、しっかり…」

「…脳内麻薬が切れたんだな。この怪我じゃ当然だ」

李優の言葉で、俺は理解した。

さっきまでのみらくは、所謂「火事場の馬鹿力」状態で、一時的に痛みを忘れているだけだった。

脳内麻薬が過剰に分泌されていたから、苦痛を感じなかったが。

脳内麻薬というものは、いつまでも続くものではない。

仲間達の姿を目にしたことで安心して、忘れていたものが一気に襲ってきたのだろう。

当たり前だ。

みらくは、全身破片まみれ、怪我だらけなのだから。

苦痛を感じない方がおかしい。

その中でも、特に重傷なのは。

「うっ…」

「…!これは…深いな」

みらくの左腕に、深々と大きなガラスの破片が突き刺さっていた。

だが、深く突き刺さっているお陰で、幸い出血は少ない。

それでも、かなりの大怪我であることに代わりはない。

放っておけば、致命傷にもなり得る。

「…早く処置しないと不味いな」

李優が傷を確認し、冷静にそう呟いた。

あぁ。俺もそう思う。

でも、この場所では…。

「処置って言っても、出来ることはたかが知れてるよ」

「あぁ…そうだな」

夢の中だからな、ここは。

今すぐに救急車を呼んで…なんてことは出来ない。

皮肉な話だな。

ここは病院で…しかも、手術室だっていうのに。

この部屋にあった治療用具は、手榴弾攻撃でほぼ塵になっているし…。

「他の部屋に、治療用具を探しに行くか…?」

「そんな悠長なことしてる暇、ある?」

「でも…みらくをこのまま放っておく訳には…」

李優と萌音が、互いにそう話し合った。

すると、みらくは。

「私のことは、気にしないで…。このくらい、響也くんの痛みに比べたら…」

…何を言うのか。

俺がこの場に残ると言ったら、烈火のごとく怒って反対したのに。

今度は、自分が同じことを言うつもりか?

「良いか、みらく。お前が…」

「置いてきぼりにするなんて言ってないよ。もっと良い方法がある」

俺の言葉を遮って、萌音が言った。

…え?