神に選ばれなかった者達 後編

この…声。

何処かで…聞いたことがある。

「…済まない。もし逃げることが許されるなら、このままお前を永遠に眠らせてやりたい」

…あぁ、そうだ。

この声は…悪夢を見るようになった前日の夜。

俺に謝った、誰かの声…。

「でも、お前は逃げることは出来ない。立ち向かいたくなくても、立ち向かわなければならない」

「…」

「お前は決して無価値な存在などではない。よく見てみると良い。よく聞いてみると良い。…お前を待っている者がいる」

その青年が、俺の背後を指差した。

そこには、光が見えた。

真っ直ぐに差し込む、温かな光…。

「さぁ、今一度命を。今一度、再起の音色を…」

青年は、玩具みたいに小さな楽器を口に当てた。

あれは…ラッパ?

青年が息を吹き込んでも、ラッパは何の音も鳴らなかった。

しかし、その瞬間、俺の全身が光に包まれた。







その光に、手を伸ばした。