神に選ばれなかった者達 後編

私は玄関で靴を脱いで、家の中に入れてもらった。

他人の家にお邪魔するのに、全く緊張していない自分に驚く。

「ここです…。響也兄ちゃんの部屋」

「…」

案内された部屋は、部屋と言うより、物置みたいだった。

私はこの時まだ、響也くんがこの家でどんな立場なのか、分かっていなかった。

物置にしか見えないその部屋の扉を開けると。

そこは、薄暗くて、小さくて、天井が低くてじめじめとしていて…でも、きちんと整理整頓された部屋だった。

いかにも響也くんらしい、几帳面な部屋。

その部屋の中に、チャチなベッドが一つ置いてあって。

響也君は、そこに横たわっていた。

固く目を閉じて、王子様に起こされるのを待つお姫様みたいに眠っていた。

「…響也くん…」

…やっと会えたね。

夢の中では、あんなに毎晩のように姿を見ているのに…。

現実で君に会えるなんて、思ってもみなかった。

きっと君もそうでしょう?

私は、そっとベッドの傍に歩み寄った。

「響也くん…ごめんね…」

辛いよね、苦しいよね。…痛いよね。

私のせいで…私が弱いせいで…ごめんね。

「いつも、私のことを守ってくれてありがとう…」

眠り続ける響也くんの手を、ぎゅっと握った。

温かった。

「私の為に、何度も死んでくれてありがとう…」

響也くんの弟くんは、びっくりしたような顔で部屋の入り口に立っていた。

私が何を言ってるのか、分かんないだろうね。

だけど私は、どうしても伝えなきゃいけないんだ。

「…君が殺された分だけ、今度は私も頑張るから」

今度こそ、守られっぱなしの私じゃなくて。

きっと、君みたいに強くなってみせるから。

「…私が助けるからね」

だから、待ってて。