神に選ばれなかった者達 後編

響也くんの高校を後にして。

今度は、私は教えられた住所のメモを手に、とある一軒家に辿り着いた。

「…ここだ…」

…ここが、響也くんの家。

高校に入る時は緊張していたけれど、今はもう、一切緊張していなかった。

私は、躊躇わずにインターホンを押した。

お願い、響也くん。出てきて。

玄関の前でしばらく待っていると。

「はい…。どなたですか?」

中学生くらいの男の子が、玄関の扉を開けて出てきた。

…響也くんの弟だろうか?

あまり、響也くんには似ていない気がするけど。

「あの…ここ、萩原響也くんのおうちですか?」

「えっ…。響也兄ちゃんのこと、知ってるんですか…?」

やっぱり、弟さんなんだ。

「うん…。…友達なの」

「友達…。響也兄ちゃんの…」

「響也くんはいる?」

私のこと見たら、きっとびっくりするだろうな。

どうやってここまで来たんだ?って聞くだろうね。

私の執念と行動力に、驚くに違いない…。

…しかし。

私の質問に、弟くんは非常に困ったような表情になった。

「…いないの?」

「いえ、それが…。いるんですけど…」

「何か問題があるの?」

「…眠ってるんです」

え?

響也くんの弟くんは、物凄く言いにくそうに言った。

「ずっと、眠りっぱなしで…揺すっても何しても起きなくて…」

「…」

「医者に見せても、原因が分からないって…。もう何日も、部屋のベッドの上で眠ったままで…」

「…」

…そう。

私のせいだね、それは。

そこまで現実が「侵食」されて…。

日常生活を送るどころか、現実で目を覚ますことも出来なくなるほどに…。

…学校に来てない訳だ。

「あの…あなたは知ってるんですか?響也兄ちゃんが、あんな風になってしまった理由…」

「…」

知ってるよ。勿論。

私のせいだからね。…こうなったのは、全部。

「…眠ったままでも良いんだ。会わせてもらえないかな?」

「えっ…」

「お願い。その為に来たの」

ここまで来て、響也くんに会わずに帰ったんじゃ何の意味もない。

強引なのは分かってる。でも、どうしても私は…。

そんな私の真剣な眼差しを受けて、響也くんの弟くんは頷いた。

「…分かりました。どうぞ」

「ありがとう…」

…響也くん。

今、会いに行くからね。