神に選ばれなかった者達 後編

「次?次があると思ってるの?次なんてないのよ。今出来なかったことが、どうして次は出来るなんて言い切れるの?」

「…そ、それは…」

…そうなんだけど。

それは正論だと思うんだけど。

でも、そうとでも言うしかないじゃないか。

「大体、出来るなら、何故今やらなかったの?手を抜いてたってこと?」 

「そ、そんなことは…!決して…」

「努力しても無理だったってこと?それじゃ、結局あなたは無能ってことね」

「…」

ぐうの音も出ない。

母にとって、俺は無能な愚か者でしかない。

言い訳しても、謝っても無駄だ。

母が慈悲をかけることを祈るしかなかった。

「この程度のことも出来ないなんて…。呆れて物が言えないわね」

「…」

「あのね、あなたは簡単に『次の機会は』なんて言うけど、その考えは甘いのよ。次失敗しないことじゃなくて、今失敗したことが問題なの」

おっしゃる通り。

おっしゃる通りだけど、模試の点数くらいで、考えが甘いだとか失敗だとか言わないで欲しい。

模試なら、次の機会があるじゃないか。

「社会に出れば、いつだって次の機会を与えてもらえるとは限らない。むしろ、一度の失敗で見限られることの方が多いの」

「…はい…」

「時の流れ、世の中の流れは、あなたが失敗して倒れている間にも進んでいる。いちいち立ち上がるまで待ってはくれないのよ」

「…」

「倒れている暇なんてない。失敗することは許さない。私にはね、無能を育てる趣味はないのよ」

「…はい」

俺は激しい自己嫌悪に襲われた。

自分が無能なせいで、こんな思いをすることになって…。

母にだって…失望させて…。

そのことが、何よりも辛かった。

母に責められることよりも、母に失望されることの方が辛かった。

こんな母親でも、俺は母のことがとても好きだったから。