神に選ばれなかった者達 後編

謎にご満悦なみらくだったが。

そこに、

「あー。えーっと…スマソ…」

「きゃぁっ!?」

「あ…ふぁにか」

弓矢を持った生贄仲間の、妹尾ふぁにが現れた。

ふぁにはどうやら、先程の俺とみらくの会話を聞いていたらしく。

「ごめんな。あの…盗み聞きするつもりはなかったんだが…」

「い、いやぁぁぁ!忘れて。今のは忘れて!」

…??

別に今、聞かれて困ることがあったか?

俺が首を傾げていると、ふぁにはじとっ、と俺を見つめ。

「…あんたさんは女泣かせになるよ、響也君…」

と、言った。

…?女泣かせ?何が?俺が?

…何故?

みらくが顔を真っ赤にしている意味も分からない。

「あー、えーと…。ごめんなみらくちゃん。君の恋心は尊重するつもりなんだけど…」

「う、うぅ…。もう言わなくて良いよ…」

「向こうに空音兄妹が待ってるんだ。合流して欲しいんだけど」

「そ、そう…分かったわ」

「了解した」

今回は前回の病院と違って、フロアごとに分断されてはいないらしいな。

正直、助かる。

全員固まっていた方が、人数が多い方が、絶対に有利に決まっているからな。

「残りの…久留衣萌音と、佐乱李優は何処に?」

「まだ見つけてない」

そうか。

せめて、あの二人が一緒にいることを願おう。

俺とみらくは、ふぁにの案内で別の部屋に移動した。

そこには絵画ではなく、彫刻が無数に飾られていた。

しかも、人型の彫刻だ。

美術室でよく絵のモデルにされる、首から上の人間の彫刻から。

ブティックに置いてあるマネキンのような等身大の彫刻…しかもやけにリアル…なものが、無数に置いてある。

ふむ。なかなかのリアリティだ。

美術の心得がない俺には、良さがいまいち分からないな。

「ひぇっ…」

みらくはびくっ、として俺の背後に隠れた。

「大丈夫だ、みらく。ただの彫刻だ」

「そ、そうだけど…。何だか気味が悪いから…」

「確かに、今にも動き出しそうだな」

「よ、余計怖いこと言わないでよっ」

そうか。それは申し訳ない。

その不気味な彫刻の間に、空音兄妹が待っていた。

相変わらず、空音いそらが、空音のぞみを守るような格好である。

「あ、響也さんっ…みらくさんも」

「良かった。合流出来たんだ」

二人共、未だに無傷のようだ。

ということは、まだ接敵はしていないようだな。

「これで5人か…。残りのお二人さんは大丈夫かね」

「早く合流したいですね…。もしかしたら、李優さん達はもうバケモノに襲われてるかも…」

「今回は…まだ、敵の姿が見えないからな」

何とも言えない。

鬼が出るか蛇が出るか…またゾンビが出るか。

「大丈夫。何が出てきたとしても、のぞみのことはお兄ちゃんが守るからね」

空音いそらは片手に鉄パイプを握り、妹ののぞみの頭にぽんと手を置いた。

いつもの常套句だな。

それを聞いて、みらくが。

「ねぇ、響也君。響也君」

「ん?何だ」

「私にも、あんな風に言ってくれて良いんだよ?『お前のことは、俺が守る』みたいな…」

「…守る…?…努力はするが、保証は出来ない」

「もー。君はまたそれなんだから…」

呆れるみらく。

…俺は怒られているのか。それとも呆れられているのか?