―――――――…病院の悪夢が、ようやく終わって。

恐らく今夜からは、別の悪夢が始まるのだろう。

そうだというのに、俺の現実の日常は相変わらずだった。

例の病院の手術室で殺され続けていた時、半月ほども眠っていたから。

その間に学校、退学処分になってるかもしれないと思ったが…そんなことはなく。

教室から俺の机と椅子はなくなっていたが、まぁこれはいつものこととして。

学校から籍は消えていなくて、再び通い出しても何の問題もなかった。

相変わらず、雨野リリカを始めとする、クラスメイトからの嫌がらせも続いているが。

これもいつものことだ。

夢の中に比べれば、こんなものはささやかなそよ風のようなもの。

…実家の話は、正直今もあまり聞きたくはない。

だが、俺がこうしている今も母が選んだ俺の「代わり」が、母の希望通りに、母の敷いたレールを進んでいるのだろう。

羨ましいとは思わない。今となっては。

俺は、俺達は…選ばれないことに選ばれた。

花一匁で、最後まで誰にも必要とされなかった一人。

その集まりが、悪夢の中に放り込まれた俺達だ。

選ばれなかった者達が寄せ集まって、一緒に正体不明のバケモノと、毎晩のように戦う。

理不尽で、訳が分からなくて…気が狂いそうになる。

それでも、俺達は生きている。

絶え間ない苦しみの中を、必死に藻掻きながら生きている。