神に選ばれなかった者達 後編

李優は、しばし天を仰いで考え。

「…分かった、萌音。犯人探しはやめにしよう」

と、言ってくれた。

「萌音…。俺は萌音の味方だからな。お前がそう言うなら、その意見を尊重するよ」

「ありがと」

李優はいつもそうだね。

パパとママと同じだよ。萌音の味方をしてくれる。

どんなことがあっても。

「この先、何が待ち受けていても…。俺は、萌音の傍に居るよ」

「…約束してくれる?」

「勿論だ」

李優はそう言って、萌音の手をぎゅっと握ってくれた。

…そっか。嬉しい。

李優がいてくれるお陰で、萌音は一人ぼっちじゃない。

李優はいつも、最初からそうだった。

萌音を導いてくれた。神様みたいに。天使みたいに。

実の両親に捨てられた時だって。

いつだって…萌音を導いて、夢幻の痛みから萌音を救ってくれた。

…そんな萌音の思いが具現化して。

夢の中で李優は、背中に生えてるのかもね。

あれふわふわしてて、萌音、好きだよ。

「それはそれとして、今夜から多分…また、新しい世界だな」

「うん」

「今度は何が出てくるのやら…。厄介な敵じゃなかったら良いんだが」

「ねぇ、李優」

「ん?」

ごめんね、次の話をしてるところに。

でも、今、どうしても、ど〜しても言いたくて。

李優があんまり優しいから。

「李優は、何で李優っていうか知ってる?」

「…は?何?」

「何で李優の名前は李優なのか、知ってる?」

あぁロミオ。あなたは何でロミオなのー、じゃないけど。

あぁ李優。あなたは何で李優なのー、ってね。

李優が何で李優なのか、萌音は知ってるよ。

李優は知ってるのかな。

「いや…。別に、特に気にしたことはないけど…。…何で今更そんなこと聞くんだ?」

「そっか。じゃあ教えてあげる」

大切なことなんだよ。だから李優にも知っておいて欲しい。

李優の名前には、萌音の気持ちがいっぱい込められてるんだよって。

萌音がもし、いつか忘れてしまったとしても、李優が覚えておいてくれるから。

…と言っても、今の李優と初めて会った時、萌音はまだおチビちゃんだったからなぁ。

まだ小学生だった。

だから、そんなに捻った…凝った名前は思いつかなかった。

「もっとよく考えて名付けてくれよ」って、李優は思うかも。

だけど、萌音の李優に対する気持ちを、一心に込めた名前なんだよ。

「…あのね、李優はね」