神に選ばれなかった者達 後編

分かるかな。こういう気持ち。

分かってもらえるかな。

「萌音はね、お友達が出来たよ。いっぱい」

「お…お友達って、お前、こんな時に何を…」

こんな時…だからこそ、言うんだよ。

「まほろ君でしょ。唱君でしょ。それから小羽根君」

こっちは現実の、学校のお友達。

そして、夢の中にもお友達がたくさんいる。

「いそら君でしょ、のぞみちゃんでしょ。それからふぁに君と、響也君とみらくちゃんと…」

わー。こんなにいる。

萌音のお友達。増えたなぁ。

夢の中のお友達の方が多いね。

同じ釜の飯…ならぬ。

同じ夢のバケモノを一緒に倒してるんだから、それはそれは仲良しのお友達だよ。

そして、何より。

「李優がいる」

李優だけは、現実でも、夢の中でもお友達。

萌音の一番最初の…一番大好きなお友達。

こんなにいっぱい、お友達が出来たのは。

李優がいてくれたから。

李優が最初に、萌音の手を繋いでくれた。

それから、いっぱい友達の輪が広がっていった。

李優が初めて…一人ぼっちだった萌音を、一人じゃなくしてくれた。

「夢の中にいたから、萌音は李優に会えた。他のたくさんのお友達も出来た」

「…萌音…」

「もし萌音が悪夢を見てなかったら。生贄じゃなかったら。今頃萌音は一人ぼっちだった」

ぼっち萌音だったはずだよ。

ぼっち萌音…。…寂しいなぁ。

楽しい夢は見られたかもしれない。でも一人ぼっちだった。

虹の橋を、一人ぼっちで渡る夢と。

羽根の生えたバケモノを、李優と、皆で殺す夢。

どっちが良いかと言われたら、萌音は…。

「…もう一人ぼっちなの、嫌だから」

「…そうだな」

「だから…誰が何と言おうと、萌音は…生贄で良かった、って思うよ」

他の皆は、そうは思ってないだろうけど。

でも、萌音はこれで良かったと思ってる。

あの夢の世界のせいで、萌音は大切なものをたくさん失ったけど。

その分、あの夢の世界でもっと大切なものを手に入れた。

「もし夢を見なくなっちゃったら、もう夢の中で李優に会えない。皆にも」

「あぁ、そうだな」

「それって凄く…萌音にとっては寂しいから…」

「普通の人間」に。選ばれなかったことに、選ばれた者同士。

傷を舐め合うように、互いに手を取り合って。

生きていけるのなら、私はそれで良いと思う。

そんな生き方でも良い。そんな自分でも良い…って。

だから。

「萌音は悪夢の原因なんてどうでも良いよ。萌音も、李優も、皆も…きっと、誰も悪くないんだ」

「…そうだな、萌音。…分かった」

と、李優は頷いた。