神に選ばれなかった者達 後編

「何か気になることでもあるの?」

わざわざ、萌音の家まで訪ねてきて。

ちょっとした連絡事項なら、『処刑場』の掲示板で話せば済むはずだ。

それなのに、わざわざ萌音と対面でお喋りしようと思ったのは。

きっと、それなりの理由があったからだよね?

萌音ニブいけど、そのくらいは分かるよ。えへん。

「萌音…。お前、昨日ふぁにが倒したバケモノのこと、覚えてるよな?」

「うん」

李優は、萌音の記憶力が人よりちょっと優れていることを知っている。

「じゃあ…何年前に、同じバケモノを見たことも…」

「覚えてるよ」

「…だよな」

そっか。

李優も気づいてたんだ。

「李優も覚えてるの?」

「あぁ…。俺は、お前ほど記憶力は良くないが…でも、あれはさすがに覚えてる」

そう。

「俺が…最初に倒したバケモノだからな」

「…うん」

そうだったね。

萌音も覚えてるよ。ついさっき、当時の日記を探して、読んでたところだからね。

「ほとんど同じだった…。カプセルに入ってて…背中に羽根が生えてて…」

「李優の羽根の方が素敵だよね」

「そんなことはどうでも良いけど…」

萌音にとっては大事なことだよ?

李優の背中の羽根はふわふわしてて、もさもさしてて、好き。

いつまでも触っていたい。まさに夢心地。

だけど、あのバケモノの羽根は。

何だか、触ったらアレルギー出そうで嫌。

萌音、あいつ嫌い。

「そうだよな…。やっぱり…昨日、あの病院で見た天使の赤ん坊…みたいなのは…昔見たのと同じ…」

「同じ個体ではないと思うよ」

「あぁ。だってあの時のバケモノは…俺と萌音が殺したからな」

うん。

萌音もはっきり覚えてるよ。

あの時萌音は初めて、李優と一緒にバケモノ退治をした。

初めての共同作業、って奴だね。

「だから多分、昨日のバケモノは、あの時のとは別の生き物…」

「うん」

「でも、姿はそっくりだった。…何なんだ?あいつらは」

「…」

そうだね。

「奴の正体は…ズバリ◯◯だ!」みたいに。

はっきり言ってあげられたら良かったんだけど。萌音、そこまで分かんないや。

萌音は李優と違って、名探偵じゃないからね。

「萌音には分かんない」

「そう…だよな。俺にも分からないし…」

こればっかりは、天使さんに聞いてみなきゃ分からないね。

あなただぁれ?って。

答えてくれそうにないけど。

「だけど…何かしらの繋がりはあるんだろうな、きっと」

「…うん」

そうかもしれないね。きっと。

李優、難しいことを考えるんだね。さすが名探偵だ。