神に選ばれなかった者達 後編

萌音が見つけられなかったのに、パパが見つけられるなんて…。

「…パパ…」

「何?やっぱりそれで合ってた?」

「…もしかして、パパにも萌音みたいな、凄い記憶力があるの?」

「…いや…全然ないけど…」

そうなんだ。

でも見つけたんだよね?凄いね。

「萌音より萌音のことをよく知ってる…。萌音マスターだ…」

「う、うん…。それは褒められてるんだか、そうじゃないのか…」

「萌音検定一級を取れるね」

「…それはどうも…」

多分、李優も一級を取れると思うよ。

萌音のこと、よく分かってくれてるから。

実の親よりも。

「萌音探してたの、これ」

「そっか。それは良いんだけど」

…けど?

「読み終わったらここ、ちゃんと片付けてね」

パパが、萌音の周囲を指差した。

そこには、ぐちゃあ…とノートが散らばっていた。

…わー。

そういえばいつの間にか、姉妹の皆が起きて、お布団を片付けている。

もしかして萌音、皆を起こしちゃった?

…わー…。

「…萌音、怒られる?」

「いや、そのくらいじゃ怒らないけど…」

パパがそう答えた、その時。

家のインターホンが、ピンポーン、と鳴った。

お客さんだね。

兄妹の友達でも訪ねてきたのかな、と思っていると。

パタパタと、急いで階段を上がってくる音がした。

誰かと思うと、ママだった。

「あ、萌音ちゃん。ここにいたのね」

「うん、いた」

「李優君が来てくれてるわよ」

と、ママが教えてくれた。

なんと。兄妹のお友達の誰かかと思ったら。

萌音のお友達だった。

萌音の、一番大好きなお友達。

「それは大変だ。萌音ちゃん、すぐ行ってあげなきゃ」

「うん、行ってくるー」

萌音は日記帳を床に置いて、急いで会談を降りて玄関に向かった。

…その後ろで。

「…李優君、か…」

パパが、意味深に呟いた。

「?どうしたの。可愛い娘を男の子に取られるのが心配?」

ママは茶化すように、パパに聞き返した。

「いや、それは…。…まぁ心配だけど」

心配なんだ。

「…彼が何処から来たのか…どうやって萌音ちゃんと知り合って、どうして今も、彼女の傍にいるのか分からない」

だけど、とパパは続けた。

「彼がいてくれたから、萌音ちゃんは優しさを取り戻した。…感謝しないといけないね」

「…そうね」

出会ったばかりの頃。荒れ荒れ萌音だった時のことを思い出して。

パパとママは、互いに顔を合わせてふふっ、と笑った。

あれを笑い話に出来るようになったのだから、萌音は本当に成長した。

それは全て、李優のお陰であり…。

そして、ずっと支え続けてくれたパパとママのお陰だった。