神に選ばれなかった者達 後編

―――――――…さて、前置きが随分と長くなってしまったが。

萌音は押入れの中の段ボール箱を漁り、日記帳を探していた。

昨日、夢の中の病院で見たちっちゃいバケモノ。

萌音は、あれを知っている。

だから、「あれ」について書き記した日記帳を探していたのだ。

「萌音ちゃん」

「ふぇ?」

背中を叩かれて、ようやく。

パパが、萌音の背後に立っていることに気づいた。

…しまった。背中を取られた…。

萌音、一生の不覚…。

「何してるの?また探しもの?」

「…うん」

「そっか…。今日は何を探してるの?」

「ちっちゃいバケモノを見つけた時のこと」

「…。…うーん…」

パパ、困り顔。

しかし、その場に座り込んで、萌音と同じように日記帳を開いた。

「えーっと…それ、いつの頃の話?」

「探したい…。ちっちゃいバケモノ…。李優と一緒に見つけた…」

「あ、全然聞いてない…」

萌音の耳に聞こえていたら、「ごめんね」と言ってたと思うけど。

今の萌音には、全く聞こえていなかった。

「萌音ちゃんがもっと小さい頃の…。どれかな…」

おもむろに日記帳を手に取り、ぱらぱらとそれを捲る。

何冊か、それを繰り返した後。

「…ん?これは確か…萌音ちゃんがうちに来たばかりの頃の…」

パパは、段ボール箱の底にあった一冊の大学ノートを見つけた。

「あの時も…ちっちゃいバケモノがどうとか言ってなかったっけ…。…ねぇ、萌音ちゃん」

「どれかな。どれかなー」

「萌音ちゃん、ちょっと。切ないから無視しないで」

「ほぇ?」

再びパパに肩を叩かれて、振り返ると。

パパは、古い大学ノートを手にしていた。

「これじゃない?確か萌音ちゃんが来たばかりの頃の…」

「あ、ほんとだ」

萌音は、パパが見つけてくれたそのノートを引ったくるように手に取った。

ぱらぱらと、目的のページを開く。

これ萌音がちっちゃい時に書いたノートだから、まだ字が汚いや。

大変読みづらいけど、確かにそこに、記述されていた。

「天使みたいな羽根が生えた、ちっちゃいバケモノを倒した」って。

…これだ。

萌音が探してた日記帳。