「おんな…のこ…?」
「はい。とっても可愛い女の子です」
相変わらず、この医者に悪気はなかった。
萌音の両親が、お腹の子を男児だと思い込んでいることを知らなかったのだ。
だから当然、大抵の妊婦がそうであるように。
男だろうと女だろうと、喜んで抱き締めるに違いないと思っていたのだ。
「ほら、目がくりくりしてて可愛いですよ。珍しいんですよ、生まれた時から目がちゃんと開いて…」
楽しげな女性医師の声が、萌音の母には聞こえなかった。
萌音母にしては、「話が違う!」と言いたかったに違いない。
だけど、もう生まれてしまったのだから、どうしようもない。
「だって…だって、検診では、男の子って…」
足掻くように、そう訴えたものの。
「あ…そうだったんですか?たまに、そういうことがあるんです。検診と言っても、お腹の中がはっきり見える訳じゃないので…」
「…」
「きっと見間違えたんでしょうね。でも、女の子でも良いじゃないですか。ほら、こんなに元気で、可愛くて…」
努めて明るい口調で言って、女性医師は萌音の顔を、萌音の母親に見せた。
萌音からすれば、初めての母親との対面である。
「ほら、お母さんにこんにちはって…」
萌音としても、これまでお腹の中で繋がっていたけれど、顔を見るのは初めてだったから。
きっと、「よっ、会いに来たよ」くらいの挨拶をしたかったはずだが…。
萌音の顔を見て、萌音母は悲鳴のような声をあげた。
「いやぁ!!」
「!?」
そしてあろうことか、萌音のことを突き飛ばしたのだ。
幸い、女性医師がしっかり抱いていたので、萌音に怪我はなかったが。
これが、萌音と実の母親との、記念すべきファーストコンタクトだった。
そして萌音は、未だにこの時のことを覚えているのだ。
「はい。とっても可愛い女の子です」
相変わらず、この医者に悪気はなかった。
萌音の両親が、お腹の子を男児だと思い込んでいることを知らなかったのだ。
だから当然、大抵の妊婦がそうであるように。
男だろうと女だろうと、喜んで抱き締めるに違いないと思っていたのだ。
「ほら、目がくりくりしてて可愛いですよ。珍しいんですよ、生まれた時から目がちゃんと開いて…」
楽しげな女性医師の声が、萌音の母には聞こえなかった。
萌音母にしては、「話が違う!」と言いたかったに違いない。
だけど、もう生まれてしまったのだから、どうしようもない。
「だって…だって、検診では、男の子って…」
足掻くように、そう訴えたものの。
「あ…そうだったんですか?たまに、そういうことがあるんです。検診と言っても、お腹の中がはっきり見える訳じゃないので…」
「…」
「きっと見間違えたんでしょうね。でも、女の子でも良いじゃないですか。ほら、こんなに元気で、可愛くて…」
努めて明るい口調で言って、女性医師は萌音の顔を、萌音の母親に見せた。
萌音からすれば、初めての母親との対面である。
「ほら、お母さんにこんにちはって…」
萌音としても、これまでお腹の中で繋がっていたけれど、顔を見るのは初めてだったから。
きっと、「よっ、会いに来たよ」くらいの挨拶をしたかったはずだが…。
萌音の顔を見て、萌音母は悲鳴のような声をあげた。
「いやぁ!!」
「!?」
そしてあろうことか、萌音のことを突き飛ばしたのだ。
幸い、女性医師がしっかり抱いていたので、萌音に怪我はなかったが。
これが、萌音と実の母親との、記念すべきファーストコンタクトだった。
そして萌音は、未だにこの時のことを覚えているのだ。


