神に選ばれなかった者達 後編

「『声』って、どんな声なの?」

「どんな…?」

こてん、と首を傾げる萌音ちゃん。

「知ってる人の声?」

もし知ってる人の声なら、その人はきっと萌音ちゃんにとって大事な人…。

…かと、思ったのだけど。

「ううん」

…あ、そうなんだ。

じゃあ、一体誰の声なんだろうな…?天の神様…?

「そっか…。声だけじゃなくて、姿を現してくれたら良いのにね」

これは、俺の単なる思いつきだった。

助けてくれるのは嬉しいけど、声だけって、何だか切なくない?

声だけよりも、萌音ちゃんの傍に一緒にいて、萌音ちゃんを助けてくれたら…。

そんな人が夢の中に、一緒にいてくれたら…きっと萌音ちゃんにとって、心強い味方…。

萌音ちゃんの仲間になってくれるんじゃないだろうか。

「…姿?」

「うん。『声』だけじゃなくてさ…ちゃんと姿を持って現れてくれたら…」

「そっかー。…うーん…。…そうかも」

ふむふむ、と頷く萌音ちゃん。

まさか、それが契機になるとは思っていなかった。

その数日後からだった。

萌音ちゃんのもとに、佐乱李優という存在が現れたのは。

結局彼の正体が何なのか、俺には分からない。

ただ一つ確かなことは、佐乱李優のお陰で、萌音ちゃんは本来の優しい、素直な女の子に戻ることが出来た、ということだ。