神に選ばれなかった者達 後編

「萌音ちゃん…?」

「ずっとそうやって生きてきたの。萌音はいつも。『声』が萌音を導いてくれて。バケモノを殺せって」

「…」

成程、何言ってるのか全然分からない。

でも、今萌音ちゃんが凄く…重要なことを話してくれているのは分かる。

それだけに、理解出来ない自分が大変もどかしい。

折角打ち明けてくれようとしているのに、歯痒い。

ここは、言葉を選ばないと。

下手に「何のこと?」とか言っちゃったら、理解してくれないことに失望して、これ以上何も話してくれなくなるかもしれない。

「萌音ちゃん…。えぇと…それは、いつのこと?」

「いつ…?毎日だよ?」

いつも、って言ってたな。そういえば、さっき。

「何をころ…いや、倒すって?」

「バケモノ」

…バケモノ…。

何かの比喩?萌音ちゃんの作り話?

それとも、幽霊的な何か…?

「…バケモノ…何処にいるの?うちにもいる?」

「いないよ。何処か、UFOの中みたいなところにいるの」

「…UFO…?」

「透明な卵みたいな容器の中に、ちっちゃい天使のバケモノがいるの」

「…」

どうしよう。本当に全然分からない。

「えーっと…。それは…あ、萌音ちゃんの持ってる絵本の話?それとも、萌音ちゃんの好きな映画の話?」

「…」

あ、ヤバい。黙っちゃった。

こんなに言ってるのに分かってくれないんだ…みたいな雰囲気。

「ご、ごめん。作り話じゃないよね」

「…うん」

「えーと…それじゃ、その…バケモノ?っていうのは、いつ現れるの?」

「夜」

と、萌音ちゃんは言った。

…夜?

夜に…いつも?毎晩?

…やっぱり幽霊的な何か?いるの?うち。

もし「いる」のだとしたら、霊媒師とか呼んだ方が良いのかな…。

「でも、昨日萌音ちゃん…。ぐっすり寝てるように見えたけど…」

「うん。夢の中だもん」

「…夢?」

それは、萌音ちゃんが初めて、自分の住むもう一つの世界のことを打ち明けてくれた瞬間だった。