神に選ばれなかった者達 後編

「萌音ちゃん…それ…暑くない?」

もしかして、極端に寒がり…とか?

すると。

「暑いよ」

やっぱり暑いんだ。そりゃそうだよね。

「でも、他にお洋服持ってきてないから」

「あ…そうだったんだ…」

成程、それ以外に服を持っていなかったのか…。

日記のノートばっかり持ってきて、服はほとんど入ってなかったもんね。

…仕方ない。

「ちょっと待ってて、萌音ちゃん」

そう言って、俺は絵里衣ちゃんのところに行った。

「絵里衣ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」

「?なぁに?パパ」

「萌音ちゃんに服、貸してあげてくれないかな?今日だけ」

さすがに、あの暑いセーターを一日中着るのは辛いだろう。

同い年で背格好が近い絵里衣ちゃんの服なら、萌音ちゃんでも着られるはずだ。

そこで、絵里衣ちゃんに借りに来た。

「うん、良いよ」

絵里衣ちゃんは少しも嫌な顔をすることなく。

ゴソゴソと、タンスの中を漁って。

「これ、可愛いよー」

と言って、自分のお気に入りの服を、笑顔で貸してくれた。

本当、この子の聞き分けの良さには助けられている。

「ありがとう、絵里衣ちゃん。萌音ちゃんもきっと喜ぶよ」

「えへへ…」

照れ臭そうに笑う絵里衣ちゃんの頭を撫でてあげて。

有り難く服を借りて、萌音ちゃんのもとに戻った。

「萌音ちゃん、これに着替えて」

「?」

「絵里衣ちゃんに借りたんだ。服、今日一緒に買いに行こう」

「…ふーん…」

と言って、萌音ちゃんは特に嫌がることもなく絵里衣ちゃんの服を着てくれた。

今日は一日かけて、萌音ちゃんが新しく生活する為の準備を整える予定だった。

そして、今日は俺ではなくママが活躍して、更に萌音ちゃんとの親睦を深めてもらう予定だった。