神に選ばれなかった者達 後編

萌音ちゃんの記憶ノートが、たくさん。

萌音ちゃんにとっては、一番大切な宝物。

「今日も探しもの?」

「うん、探しもの」

彼女がこうして、発作的に記憶ノートを段ボール箱から引っ張り出して「探しもの」をするのは、今日が初めてじゃない。

だから、今はもう驚くことはない。

初めて萌音ちゃんがこんな発作を起こした時は、大層驚いたものだ。

あれは確か、萌音ちゃんがこの家に来て、数ヶ月経った頃。

突然、何かに取り憑かれたように、箱の中のノートを一心不乱に漁り始めたのだから。

声をかけても全然気づかないし、止めようとしても全然聞いてくれなかった。

とりあえず好きなようにさせようと、しばらく離れて様子を見守っていると。

萌音ちゃんは古いノートを取り出して、それをひたすら、じーっと眺めていた。

どうやら、それが目的のノートだったらしい。

結局は、それで発作は収まったのだが。

萌音ちゃんが落ち着いてから、「あれは何をしてたの?」と尋ねたところ。

「探しもの」と、一言で答えた。

はぁ、探しもの。

「一体何を探してるの?」と聞いたら。

「萌音の記憶」とのことだった。

これは非常に難解な答えだった。

妻であるママと、互いに顔を見合わせ、頭を捻って考えたものだが。

萌音ちゃんにはどうやら、他の子供とは全然違う世界を見ているらしい、と納得することにした。

実際、この子はいつもそうだ。

思えば、最初に出会った頃から。