神に選ばれなかった者達 後編

…しかし、今のふぁにには、心強い仲間達がいる。

突然襲われたとしても、この仲間達がいれば、恐れる必要はない。

「…あれ?」

覚悟を決めて、四階に臨んだというのに。

扉を開けるなり、バケモノ達が待ち構えていた…。

…なんて、ことはなく。

「…誰もいないね…」

「…なんか、拍子抜けだな」

そうだな。

普通さぁ…やったことないけど、ダンジョンゲームとかだと。

最終ステージに、ラスボスが待ってて…かつてない強敵に立ち向かう…みたいな。

そういうシチュエーションを、期待…はしてないけど、覚悟はしていた。

だから、何も出てこなくて…非常に拍子抜け。

恐る恐るエレベーターから降りて、周囲を見渡してみる。

…しかし、やっぱり誰もいない。

それどころか、人の気配すらしない。

人って言うか…バケモノだけども…。

そして、フロア全体が薄暗く、不気味な気配を醸し出していた。

ふぁにがいた一階とは、まるで違う…。

…どころか。

「私とお兄ちゃんがいた二階とは、全然違うね…」

「俺とみらくがいた三階とも、まったく違うな」

「うーん。地下とも違う感じだね」

のぞみちゃん、響也君、萌音ちゃんの順で言った。

だってさ。

つまり、この四階は、他のどのフロアとも違っているらしい。

…病院と言うより…何処かの研究所?みたいな…。

そんな雰囲気だな。

「忍者、いないかなー」

「あ、ちょっと待て萌音」

まるで、動物園か水族館にでも来た子供みたいに。

萌音ちゃんは、はしゃいでるみたいな様子で、フロア内をひょこひょこ小走りに探していた。

その萌音ちゃんを、慌てて李優君が追いかけた。

あの二人は、恐らく大丈夫だと思うが…。

…忍者って何?

「何だろう…。凄く不気味だね…」

「病院というのは、元々不気味な場所だと思うが」

「そうじゃなくてさ…」

みらくちゃんは、響也君の後ろにぴったりとくっついて、怯えた様子で周囲を見渡していた。

それから。

「お兄ちゃん…ここは…」

「…大丈夫だから。のぞみ、お兄ちゃんの傍を離れないで」

空音兄妹も、互いに周囲を警戒していた。

いそら君は、何があっても絶対にのぞみちゃんを傷つけさせないとばかりに、鉄パイプを強く握り締めている。

…だけど…。

「…多分、誰もいないよ」

「え?」

ふぁには、淡々とそう言った。

「少なくとも、ふぁにの視界の範囲内には誰もいない」

こういう時、ふぁにの無駄に良い目が役に立つ。

逆に言うと、こういう時しか役に立たない。

役に立つうちに、少しでも役に立てておこう。