神に選ばれなかった者達 後編

その日の夜も、ふぁには妹尾家の他の男兄弟と一緒に、布団を敷いて眠った。

非常に快適な入眠。

しかし、夢の中では…。




「…よし、それじゃ今夜は…四階に行くか」

全員が揃うと、李優君がいよいよ、そう宣言した。

…地下から三階まで攻略し、残るは四階のみ。

四階は未踏の地である。

果たして何が待っているのか…わくわくするよな?

…冗談だけど。

他の生贄メンバーも、さすがに緊張の面持ち…かと思いきや。

「よし、行こーっと」

すげー元気。萌音ちゃん。

一緒にお化け屋敷に行くとしたら、絶対萌音ちゃんが良いな。

まぁ李優君に怒られそうだから、やっぱりやめとこう。

勇気のある萌音ちゃんを先頭に、ふぁに達は揃ってエレベーターに乗り込んだ。

他の皆さんは、このエレベーターに乗って一階まできたらしいが。

ふぁにがこのエレベーターに乗ったのは、これが初めてである。

後で萌音ちゃんに聞いたところによると、黒衣人間を脅して、無理矢理エレベーターの鍵を開けさせたらしい。

やるなー、さすが。

厨房の隅っこに、ゴキブリみたいに隠れてるだけのふぁにとは、行動力が違うな。

「四階に行こー。ぽちっと」

その萌音ちゃんが、何が書いてあるか分からないエレベーターのボタンをぽちっ、と押した。

すると、エレベーターがガコンガコン、と動き出した。

おー、動く動く。

さぁ、まだ見ぬ四階へ。

エレベーターが上昇し、歪な音を立てながら扉が開いた。

「のぞみ、お兄ちゃんの後ろに」

「う、うん」

扉が開いた瞬間に、突然、バケモノに襲われるのではないかと。

警戒したいそら君は、妹ののぞみちゃんを自分の背中に隠し、鉄パイプを握り締めた。

李優君も拳銃を手に、険しい顔をしていた。

みらくちゃんも、ウエストポーチに手を伸ばし、いつでも手榴弾を起爆させられるように構えていた。

ガッチガチに緊張してんな。

平然としているのは、萌音ちゃんと響也君だけだ。

…え?ふぁにはどうなのかって?

ふぁにはもう、突然襲われたらその時はその時、って思ってるよ。

だってふぁにの武器じゃ、弓をつがえて、狙いを定めて、引いて、初めて攻撃出来る。

ある程度の距離がなければ打てないし、突然襲われたら反撃のしようがない。

運が良ければ生き延びられるし、運が悪けりゃ死ぬ。

こればかりは、飛び込んでみなきゃ分からないからな。

例え死んだとしても、そういうもんだと思ってるよ。

そのくらい割り切ってなきゃ、この悪夢の中では生きていけない。