…もう、何もかも遅いんだよ。
あんたさんは、ほたるがふぁにになっていることに、何年も気づいてなかった。
気づかないまま、ここまで一緒に暮らしてきたのだ。同じ屋根の下で。
あんたさんは別に、ほたるじゃなくて良かったんだろ。
今日まで気づかなかったんだから。
これまでずっと、クローゼットの奥にしまい込んでいた古いコートを。
引っ張り出してみたら、虫食いがあったようなものだ。
そりゃショックだし、一瞬は落ち込むかもしれないけど。
ずーっと着てなかったんだから、多分これからも着る機会はないだろう。
そんなもんだよ。
「ほたるのことなんて、どうでも良かったんだろ?どうでも良かったから、今に至るまで気づかなかったんだろ?」
ほたるが、いつの間にかふぁにに代わっていたことに。
「…もう遅いよ」
「…。…どう…どうしたら良いの?どうすれば、ほたるが…」
「だから、もう無理なんだってば」
残念だけどね。
あんたさんに呼ばれても、ほたるはほんの少しも、目覚める気配さえ見せていない。
駄目なんだよ。あんたさんに呼ばれたって…ほたるは目を覚まそうとはしない。
「…希望を持つのは悪いことじゃない。ほたるが目を覚ましてくれたら…って、それはふぁにも思ってる」
いつか、もしかしたら…って思ってるよ。
限りなく細い糸だけど、それを手繰り寄せればきっと、ほたるが目を覚ます時が来る…。
そう信じて生きてる。…ふぁにだって。
だけどその願いは、もう何年も裏切られ続けている。
多分、ほたるは「自分が目覚めること」を望んではいない。
ふぁにのような…「自分に代わる存在を生み出すこと」だけに固執している。
耐えられない痛みを…自分の代わりに耐えてくれる「別の誰か」を。
「…別に、ふぁにと仲良くする必要はないよ」
優しくしてくれなくて良い。放っといてくれて構わない。…いつものように。
ふぁには、あんたさんの息子じゃあない。
他人なんだから。
…それに。
「いつかきっと、ふぁにが耐えられなくなったら…その時は、また別の誰かが出てくるだろうよ」
ほたるには、ふぁにが必要だった。
だから生まれた。
もしいつか、ふぁにに別の人格が必要になったら。
きっとまたほたるは、新しい誰かを生み出してくれるだろう。
ふぁにという存在は、それまでの繋ぎでしかない。
…繋ぎで構わないよ。
この世に生まれてくることが出来たんだから。
あんたさんは、ほたるがふぁにになっていることに、何年も気づいてなかった。
気づかないまま、ここまで一緒に暮らしてきたのだ。同じ屋根の下で。
あんたさんは別に、ほたるじゃなくて良かったんだろ。
今日まで気づかなかったんだから。
これまでずっと、クローゼットの奥にしまい込んでいた古いコートを。
引っ張り出してみたら、虫食いがあったようなものだ。
そりゃショックだし、一瞬は落ち込むかもしれないけど。
ずーっと着てなかったんだから、多分これからも着る機会はないだろう。
そんなもんだよ。
「ほたるのことなんて、どうでも良かったんだろ?どうでも良かったから、今に至るまで気づかなかったんだろ?」
ほたるが、いつの間にかふぁにに代わっていたことに。
「…もう遅いよ」
「…。…どう…どうしたら良いの?どうすれば、ほたるが…」
「だから、もう無理なんだってば」
残念だけどね。
あんたさんに呼ばれても、ほたるはほんの少しも、目覚める気配さえ見せていない。
駄目なんだよ。あんたさんに呼ばれたって…ほたるは目を覚まそうとはしない。
「…希望を持つのは悪いことじゃない。ほたるが目を覚ましてくれたら…って、それはふぁにも思ってる」
いつか、もしかしたら…って思ってるよ。
限りなく細い糸だけど、それを手繰り寄せればきっと、ほたるが目を覚ます時が来る…。
そう信じて生きてる。…ふぁにだって。
だけどその願いは、もう何年も裏切られ続けている。
多分、ほたるは「自分が目覚めること」を望んではいない。
ふぁにのような…「自分に代わる存在を生み出すこと」だけに固執している。
耐えられない痛みを…自分の代わりに耐えてくれる「別の誰か」を。
「…別に、ふぁにと仲良くする必要はないよ」
優しくしてくれなくて良い。放っといてくれて構わない。…いつものように。
ふぁには、あんたさんの息子じゃあない。
他人なんだから。
…それに。
「いつかきっと、ふぁにが耐えられなくなったら…その時は、また別の誰かが出てくるだろうよ」
ほたるには、ふぁにが必要だった。
だから生まれた。
もしいつか、ふぁにに別の人格が必要になったら。
きっとまたほたるは、新しい誰かを生み出してくれるだろう。
ふぁにという存在は、それまでの繋ぎでしかない。
…繋ぎで構わないよ。
この世に生まれてくることが出来たんだから。


