神に選ばれなかった者達 後編

こう言うと、まるでみらくちゃんだけが弱いように思えるかもしれないが。

それは大きな間違いだ。

みらくちゃんの反応が普通なんだよ。

むしろふぁには、みらくちゃんが羨ましい。

彼女はまだ、普通の、常識的な感性を持ち合わせてるってことだ。

ふぁに達はそんなもの、とっくに過去の夢の中に捨ててきてしまった。

「みらく、ここはもう良い。無理をするな」

自分自身も、身体中にべっとりとバケモノ共の返り血を浴びながら。

それでも気丈な響也君は、みらくちゃんを気遣ってそう言った。

「だ…駄目…。…私も…響也君と、一緒に…」

みらくちゃん、あんたさん、本当に強くなったな。

そんな状態になっていながら、まだ戦うことを選ぼうとするなんて。

「もう無理、限界」って言っても、バチは当たらんぞ。

耐えられる方が異常なんだよ。こんなもの。

「わ、私も…戦って…強く、ならなきゃ…」

ふらふらしながらも、吐瀉物まみれのみらくちゃんは、何とか立ち上がろうとした。

…見ていて痛々しい。

ここいらが潮時だろう。少なくともみらくちゃんは。

「響也君、あんたさん、みらくちゃん連れて廊下に出てな」

ふぁには、響也君とみらくちゃんにそう言った。

「…!そんな…私、まだやれる…」

みらくちゃんは、気丈にもそう言ったが。

彼女がもう限界なのは、その青ざめた顔を見れば誰でも分かる。

さて、どうやって説得したものか、と思っていると。

「そんなふらふらしながらついてこられても、足手まといだから」

萌音ちゃんが、あまりにもストレートにそう言った。

うーん。言葉がキツい。

だけど、今のみらくちゃんを納得させる為には、このくらいハッキリ言った方が良いのかも。

「お、おい。萌音…」

「だって事実でしょ。足手まといだから、どっか行ってて」

萌音ちゃんのキツい言葉を、思わず李優君が諌めたが。

萌音ちゃんは、自分の言葉を撤回しようとはしなかった。

「…」

これには、みらくちゃんも意気消沈していた。

そんなみらくちゃんに、響也君が手を貸した。

「みらく、行こう。廊下に」

「…ごめん。私、また皆に迷惑を…」

その気持ちだけで嬉しいよ。

それに、手榴弾貸してもらったってだけで、君は充分貢献してくれたよ。

「あとはこっちに任せてくれ。全員退治してくるから」

「済まなく、頼む」

響也君がそう答え、みらくちゃんと一緒に廊下に出ていった。

「…のぞみ。のぞみは大丈夫?」

いそら君が、妹に気を遣ったが。

「私は大丈夫。…慣れてるから」

「…そっか。無理しないでね」

さすがに生贄歴の長いのぞみちゃんは、まだ平気か。

強がってる様子もないし…。

…それなら、最後まで協力してもらおうかな。