神に選ばれなかった者達 後編

それから、僅か二時間後。

ふぁに達は、あっという間に一階フロアを制圧していた。

びっくりするほど呆気ないだろう?…そんなもんだ。

攻略する方法は分かっていた。でも、それを実行に移すだけの人手が足りなかっただけだ。

そして今、人手は充分にある。

ならば、話は早い。

まずふぁに達は、厨房で人間ミックスジュースを作っている黒衣料理人達を奇襲した。

ここで、みらくちゃんの手榴弾が大層役に立った。

みらくちゃんには、退避しておいてもらおうと思ってたけど…来てもらって良かったかも。

こういう時、みらくちゃんの手榴弾がとても便利。

まずふぁに達は、3つの手榴弾を同時に、厨房に向かってぶん投げた。

これにより、厨房は大混乱。

大多数の黒衣人間共は、手榴弾によって即死した。

しかし、中には息がある者もいた。

そいつらは、他のフロアに応援を呼ぼうと、無線機みたいなものを使おうとしていたが。

それを許すふぁに達ではない。

飛び掛かって、一網打尽にした。

萌音ちゃんが首を絞めて殺し、李優君が敵から盗んだ拳銃を撃ち、いそら君が鉄パイプで殴り殺し。

そして、ふぁにが弓矢で撃った。

のぞみちゃんとみらくちゃんも、そこらの瓦礫の破片で敵を殴っていた。

いやぁ強くなったもんだよ。あの二人も。

そうやって、厨房にいた黒衣人間達を全員抹殺した。

ここまでやれば、後は早いもんだ。

あとは、各病室にいるバケモノ達を倒すだけだ。

しかも奴らは両手足を拘束されているんだから、殺すのは簡単だ。

その方法も分かっている。

ふぁに達は、厨房の冷蔵庫から大量の血のペットボトルを取り出した。

そして、患者達にそれを飲ませた。

昨日、ふぁにがやったことを、今度は仲間達全員で行ったのだ。

水分に飢えた患者達は、貪るようにその血液を飲み。

そして、腹を破裂させて死んでいった。

昨日、ふぁには血液の容器まるまる一本飲ませて殺したが。

どうやら、そんなに飲ませる必要はなかったらしく。

コップ1杯分くらい飲ませたら、勝手に腹が破裂して死んでいた。

成程ね。徹底して水分を避けてたのは、これが理由だった訳だ。

ほんのちょっとでも、与える水分量が多いと、この患者達、全員簡単に死んじゃうんだ。

病室の中にいる患者達が、あまりにも呆気なく、そして次々と腹を破裂させて死んでいく様は。

昨日よりも、遥かに凄惨だった。

思わず目を背けたくなるくらいだった。

「うっ…うぇぇっ…」

「みらく、大丈夫か?」

「う…うん…」

響也君に支えられていたが、みらくちゃんの顔は真っ青になっていた。

…無理もない。

目の前で、人間が腹を破裂させて死んでいるのだ。

こんなもの見て、普通なら正気じゃいられない。当たり前のことだ。

まだ経験の浅い響也君も、それは同様だと思うが。

意外と肝が据わっているのか、あるいはもう、早くも感覚が麻痺してしまっているのか。

響也君は、意外としっかりしていた。

ふぁにや萌音ちゃん達古参組は慣れてるから、この程度じゃけろっとしている。

空音兄妹も、それは同様だ。

でも、のぞみちゃんは繊細な女の子だから、こういうものを見るのは辛いんじゃないかと思ったが。

のぞみちゃんも、意外と肝が据わっているらしく。

どんな凄惨な光景を見ても、彼女は決して目を逸らさなかった。

大したもんだ。