神に選ばれなかった者達 後編

快適な眠りについた、その日の夜。






「…おっ…」

気がつくと、ふぁにはいつも通り、夢の中大病院にいた。

夢の中での怪我は、現実には影響しない。

同じように、現実での怪我は、夢の中に影響しない。

ってな訳で、じんじん、じくじくと痛んでいた左手の指3本は、夢の中では綺麗に治っていた。

やったぜ。全然痛くない。

夢の中万歳。…って、まぁ夢の中の方が、もっと痛い目に遭う可能性が高いんだが。

でも、ようやくこれでちょっと一息つけた…と、思っていると。

「ふぁに!」

「んぁ?」

名前を呼ばれて振り向くと。

そこに、生贄仲間達の姿があった。

響也君、みらくちゃん、李優君、萌音ちゃん、それに空音兄妹。

おぉ。全員揃ってんじゃん。

めっちゃ久し振り。

そういや、他のフロアを攻略したから、今夜から一階に集まるって言ってたな。『処刑場』で。

現実で指折られたショックで、うっかり忘れてたよ。

「おー、あんたさん達…元気だったか?」

いや、元気だったか?っていう質問はおかしいかもしれないけど。

「ふぁに…遅くなって悪かった」

と、李優君が言った。

「一人で大変だっただろう?」

「いやぁ…そうでもないよ。ずっと隠れて見てただけだし」

狡猾に立ち回るだけで、度胸ないからな。ふぁには。

早々に、一人ではどうしようもないと判断して。

それからは、ずーっと隠れて観察してただけだ。

まぁ、昨夜は珍しく、ちょっと動いたけど…。

…それよりも。

「…お二人さん、元気そうで何よりだよ」

ふぁには、響也君とみらくちゃんにそう言った。

この二人、しばらく『処刑場』にも姿を見せなかったからな。

大丈夫かなーって、心配してたんだよ。

「あぁ。心配をかけたな」

「ごめん…」

「あー、いや。別に責めてる訳じゃないから」

まぁ、今、元気になったんなら良かった。

人数が増えたことで、俄然、何とかなりそうな気がしてきた。