神に選ばれなかった者達 後編

「死んだ…?…何で?」

「さぁ…?耐えられなかったからだろ?」

耐えられなかったから、ほたるは死んだんだよ。

そして、ふぁにが生まれたんだ。

「だって…ほたるは、今私の目の前に居るじゃない」

「だから、ほたるじゃないんだって…。あぁ、何度言ったら分かるのかねぇ…」

自分の息子がとっくに死んでるってこと、認めたくないのか?

今更?何で?

「どうして今更、そんなこと言う訳?ほたるとふぁにが入れ替わって、もう何年になると思ってるんだ」

「…入れ替わった…?…いつから?」

「そりゃ、ほたるが自殺した時からだよ」

「…自殺…!?」

…初めて聞きました、みたいな顔だな。

何だ。そのことも気づいてなかったのか。

…そういやそうだったな。

妹尾家の人々は、ほたるが歩道橋から落っこちたことを、事故だと思っていた。

だからふぁにも最初は、自分が歩道橋から足を滑らせたんだと思っていた。

だけど、それは大きな間違いだ。

「ほたるが歩道橋から落ちたの、覚えてるか?」

「歩道橋…?…え、えぇ…」

「あれだよ。ほたるが死んだ原因」

「…!だって、あれは事故だって…」

おいおい。本気で事故だと思ってたのか?

「歩道橋から、どうやって事故で落ちるんだよ?」

階段から落っこちたんじゃないんだぞ。

ちゃんと柵を越えて、飛び降りたのだ。

事故でそうなるかっての。

「じ…事故じゃないなら、なん…」

「だから、自殺だって。耐えられなかったんだろ。…色々と」

「…!」

ふぁには、ほたるじゃないから分からないけど。

ほたるは耐えられなかった。

だからふぁにが生まれた。

この事実だけが確かだ。

「どうして…。…いつから、どうしてほたるが…」

「…」

そんなこと、ふぁにに聞かれても。

「…ほたるは何処なの?あなたがほたるじゃないって言うなら、ほたるを呼んできて。ほたると話をさせて」

ほたるを呼んできて…。…か。

呼んできて、話をさせてやれたら良かったんだけどなぁ…。

残念ながら。

「無理。ほたるは死んでるから」

「…!どうしてっ…?」

「もっと正しく言うと…寝てる。深く深く…ふぁにがこの身体に生まれてからずっと、ほたるは寝てる」

何度も呼びかけてるけど、起きてくれない。

「多分、一生起きる気はないんだろ。ふぁにに全部任せて、押し付けて…。…ったく迷惑な話だよ」

でも、ふぁには許すよ。

だって、ふぁにはほたるの友達だからな。…唯一の友達。

「…そんな…何で…」

ほたるママは、ふぁにの話が信じられないようで愕然としていた。

信じたくないなら、それも自由。

ふぁには、自分の知る事実しか知らない。教えることは出来ない。

まぁ、あれだよ。

多分、罰って奴じゃないの?

ふぁにとも、ほたるとも…向き合うことから逃げ続けた、罰。

それがようやく巡ってきた。それだけの話だ。