神に選ばれなかった者達 後編

見つかったら、間違いなくふぁには再び人間ミックスジュースの材料だな。

まぁ、そんな細かいことは気にするな。

これまで何度も、夢の中で残酷な死に方してきたんだから。

今更ミキサーにかけられて、美味しく調理されるなんて…。どうということも…。

…。

…言っとくが、ふぁにはマズいからな。

ふぁになんか混ぜたら吐き気を催すぞ。悪いこと言わないからやめとけ。

多分カメムシの匂いするから。

来るなよ、絶対来るなよ…フリじゃないからな。

心の中で、必死にそう祈っていると。

黒衣人間達が、カートを引き摺って部屋に入ってくるなり。

ふぁにがうつ伏せになっているベッドの上で、患者達がガタガタと痙攣し始めた。

な、何だよ?

思わず声が出そうになったけど、何とか堪える。

「ゥゥゥ…ゥゥゥズ…ィィィ…」

「ゥズィィィミ!」

「ゥゥゥズズズミミミズズズミミミズズズ」

…やべぇ。

これはやべぇ奴だって。

…ミミズ…?ミミズって言ってる…?

わっかんねぇ…わっかんねぇけど、黒衣人間が病室に入ってきた途端、患者達が目を覚まして暴れ始めた。

餌の時間だって分かってんのかな?

患者が暴れ出そうとも、病院スタッフである黒衣人間は少しも動じておらず。

いつものこととばかりに、淡々と食事を配り始めた。

犬の餌入れみたいな容器に、ドロドロの人間ミックスジュースを注ぐ。

でも、両手足鎖で繋がれてんのに、どうやってあれ、食べるんだろう?

まさか、ご丁寧にスプーンで食べさせてあげる訳じゃあるまい…。

…と、思っていたら。

自分の手で食べられるよう、黒衣人間は患者の右手の鎖だけを外してやった。

鎖を外すなり、患者は天を掴むように、ビュンッ、と手を伸ばした。

そりゃ、四六時中繋がれてたら…そんな反応になるよな。

つーか、片手だけじゃ食べにくくね?

もう片方の手も外してやれば良いのに…。

しかし、どうやら片手しか外してもらえないらしく。

外してもらった右手だけで、彼女達は器を乱暴に掴み。

貪るように、口の中に押し込み始めた。

おいおい。マジかよ?

もうちょっと品、品ってものを大切にしないか?

そんな勢いで食べちゃ、溢れてしまうじゃないか。

実際、6人のうち二人ほどは、食器から人間ミックスジュースを溢してしまっていた。

白いシーツが、ピンク色の液体で濡れた。

しかも一人は、器に一切口をつけることなく、勢い余って器を床に落としてしまっていた。

中身のミックスジュースが、全部床に溢れ落ちた。

あぁ…だから言わんこっちゃない。

「ゥゥゥゥゥゥズズズズズ!」

床に食べ物をぶち撒けてしまった患者は、悲痛な叫びをあげていた。

しかし、それでも代わりの食事は与えられないようだ。

黒衣人間は、器を落っことした患者を興味なさそうに一瞥して、そのまま立ち去った。

冷てぇ奴…。代わりくらいあげろよ。