神に選ばれなかった者達 後編

ふぁにだってな、戦えるものなら戦いたかったさ。

それにしたって、ふぁにだけ不利過ぎると思わないか?

皆二人一組で戦ってんのに、何でふぁにだけボッチなんだよ。

夢の中の癖に現実再現やめろ。

でもふぁにの場合、頭の中にほたるがいるから、実質二人。ってこと?

そんな粋なサービスは要らないんだよ。

大体ほたるの奴は、ふぁにがいくら話しかけてもスルーなんだもん。

寂しいわぁ〜…ボッチって。

ふぁにも地下とか…三階にいたかったよ。

でも、それはそれで危険そうだから、やっぱりボッチで良かったのかな…。

一人でも勇猛果敢に戦えるほど、強かったら良かったんだけどなぁ。

如何せん、敵の数が多過ぎる。

一人で戦うのは多勢に無勢、というもの。

…え?ヘタレだって?

うるせぇ。戦略的撤退、って奴だよ。

それに、ただ隠れているだけじゃあない。

何日も毎晩も、病院の厨房に隠れて。

ふぁには、得意の人間観察に精を出した。

人間ではないけどな、相手バケモノだから、バケモノ観察だ。

持ち前の目の良さが、こういう時に活きる。

厨房に隠れて、ずっと観察していて気づいたのだが。

この病院の食事、結構几帳面に作ってるんだよな。

そりゃ病院の食事なんだから当たり前だろ、と思うかもしれないが。

最初の頃ふぁには、人間の肉をぶつ切りにしてミキサーにかけて、それで完成なんだと思ってた。

でも、意外とそうじゃないの。

人間ぶつ切り肉を、豪快にミキサーにぶち込んでるのは事実だ。

しかし、そこに入れる調味料?みたいなものは、結構シビア。

ミキサーに混ぜる調味料は、塩とか砂糖とかお酒とみりん…じゃなくて。

およそ、塩や砂糖には見えない、黒っぽい粉状の調味料。

何なんだろうな?あれ。炭?

更に、赤っぽい粉状の調味料や、緑色の調味料も何種類か入れている。

あまり想像したくないが…。

あれはそう…チリパウダーだよ、きっと。チリパウダーと…抹茶パウダー。

そうなのだと思おう。

で、これらの調味料をきちんと、デジタルの計量器で計ってから入れていた。

その計量器の数値も、毎日一緒なのだ。

黒い調味料は◯グラム、赤い調味料は△グラム、緑は☓グラム…って、きちんと決まってるんだろうな。

毎日、1ミリグラムの過不足なく。

ちなみに、醤油とかお酒、みりんみたいな、液体の調味料は一切使っていないようだった。全部粉末状。

そういう料理ってあんの?…ふぁに、料理しないから分からんけど。

で、そんな怪しげな添加物(?)をたっぷり混ぜ込んだ食事を、これまたきちんと計ってから器に盛っていた。

そうやって作られた人間ミックスジュースは、凄まじい異臭を放っていて。

ずっと嗅いでいたら、鼻が馬鹿になりそうだった。

頭が馬鹿なのに、鼻まで馬鹿になったら洒落にならないだろ。