神に選ばれなかった者達 後編

「そうじゃなくて…のぞみ、今秋本君と喋ってたでしょ?」

「え、秋本君と…?…うん、喋ってたけど…」

「何々?何を喋ってたのよ?」

…何なの?

その、好奇心にキラキラ輝く眼差しは。

「別に…大した話はしてないわよ?」

「またまたぁ。隠さなくても良いじゃない」

何も隠してないんだけど?

「いや、本当に何も隠してないわよ…。ただ、図書室に新しく入ったおすすめの本を取り置きしてある、って秋本君が言うから、今度行くわね、って答えただえよ」

「…え、それだけ?」

「それだけよ」

「…本当にそれだけっ?」

…一体何を期待してたのよ。

「それだけよ…」

何度も言わせないで頂戴。

「えぇぇ〜…?てっきり、来週どっかにデートに行こう、とかそういう話だと思ってたのに…」

ちょっと。何を言い出すの?

思わず噴き出すところだったじゃない。

「何で私と秋本君がデートに行くのよっ…?」

「え?だってのぞみ、秋本君と付き合ってるんでしょ?」

またまた噴き出すところだった。

そして、お兄ちゃんが聞いていなくて良かった。

今頃お兄ちゃん、ここが現実だということも忘れて、秋本君を鉄パイプで追い回していたかも知れない。

「一体誰がそんなデマを流したの?」

私はともかくとして、秋本君に失礼でしょ。

「え?デマなの?」

「デマに決まってるでしょ。彼はただの友達よ」

図書室友達。それ以上でもそれ以下でもないわ。

「嘘…。じゃあのぞみ、しょっちゅう図書室に通ってるのって、何で?」

「は?何でって…。本を借りる為でしょ?」

図書室は本を借りる為にある場所なんだから。

他に何をするのよ。

「のぞみは秋本君に会いに、図書室に通ってるんだとばかり…」

「そんな訳ないでしょ…」

どうしてすぐそんな発想になるのよ。

そんなつまんないことばっかり考えてないで、その時間を勉強に回したら?

きっと、今より成績上がると思うわよ。

「じゃあのぞみって、誰が好きなの?」

「…その『好き』って、異性のこと?」

「当たり前じゃない」

ふーん。異性で好きな人、ね。

恋愛対象は誰か、っていう質問よね、それは。

良いわ。じゃあ教えてあげようじゃない。

「一度しか言わないからよく聞いて。私、好きな人なんていないから」

「…えぇ〜…?」

…何よ。その「つまんない…」みたいな顔は。

面白がってるんじゃないわよ。