神に選ばれなかった者達 後編

何もかも分からないことだらけで、不安で堪らなくて。

ひたすら、怯えることしか出来ない私のもとに。

今度は、別の人物からメッセージが送られてきた。

『もちもちもね∶君は?』

…え?

久留衣萌音ちゃんだった。

そういえば、彼女は『処刑場』で、一度も私と響也くんの安否を尋ねたことはなかった。

『もちもちもね∶君は何してるの?』

…君って、私のことだよね?

『M・Y∶私は…手術室のクローゼットの中に隠れてるの。

M・Y∶響也くんが、出てくるなって言ったから

もちもちもね∶響也くんが何度も殺されてるのに、君は何もせずに隠れてるだけってこと?』

そう聞かれた瞬間、私は心をナイフでぐさりと刺されたような気がした。

『もちもちもね∶武器を持ってるでしょ?何で戦わないの?』

そ、れは…。

『M・Y∶響也くんが私に、絶対に出てくるなって

もちもちもね∶それで?その言葉に甘えて、自分だけ安全な場所で見てるだけなの?』

次々と、トゲのある言葉が突き刺さる。

何も言い返せない。

『もちもちもね∶それって卑怯だよね?一生そうやって、響也くんを犠牲にして自分だけ逃げるつもり?

天使ちゃん∶萌音!そんな言い方はないだろ』

たまらず、李優さんが制止に入ってくれた。

しかし。

『もちもちもね∶李優だって分かってるでしょ。

もちもちもね∶階段もエレベーターも閉鎖されてる以上、誰も助けに行ってあげられないんだよ。

もちもちもね∶自分で戦うしかないんだ。立ち向かわなきゃいけないんだよ

天使ちゃん∶それはそうだが…

もちもちもね∶怖いのは誰でも一緒だよ。逃げたいのも死にたくないのも同じ。響也くんだって』

「響也くんだって」。

その言葉に、私はハッとした。

…その通りだ。

怖いのも怯えてるのも、逃げたいのも…私だけじゃない。

響也くんだって、私と同じ恐怖を抱えているはず。

それでも…彼は、私を守る為に犠牲になってくれている。

私が耐えられない恐怖と痛みに、耐えてくれている。

…それなのに私は、何もせず、ただ響也くんの言葉に甘え続けた。

『もちもちもね∶戦いなよ、自分の手で。自分の足で。

もちもちもね∶自分が守ってもらったように、今度は君が響也くんを守ってあげて』

「…萌音ちゃん…」

…そうだね。本当。

その通りだ。