保育器の中に寝かされていた赤ん坊達は、一人残らず始末した。
私はほぼ見ていただけで、やってくれたのは萌音さんと李優さん。
それから、響也さんと…お兄ちゃんだ。
…非常に不甲斐ない。
「ふー。終わった終わった」
萌音さんは、すっかりひしゃげてしまった血まみれの丸椅子を、ポイッと放り投げた。
萌音さん自身も、赤ん坊の返り血がべったりとついていた。
その姿を見ていると、どうにもいたたまれなかった。
「…ごめんなさい、萌音さん」
「ほぇ?何?」
「いえ、その…。ほとんど任せてしまって…」
「?萌音がやっちゃ駄目なの?」
「え?あ、いやそうじゃなくて…」
ほぼ萌音さんに任せてしまったのが申し訳なくて。
それを謝ろうとしただけなんだけど…。
「気にするな、のぞみ。萌音を気遣ってくれてありがとうな」
李優さんが、萌音さんの代わりに私を励ましてくれた。
「あ…は、はい…」
「のぞみ。…大丈夫?」
お兄ちゃんが、私に尋ねた。
「…うん、大丈夫。お兄ちゃんも、任せっきりにしてごめんね。次こそはきっと役に立つから…」
「そんなこと気にしなくて良いんだよ」
…まったくもう。
お兄ちゃんはいつも、そればっかりなんだから…。
…しかも。
「のぞみ…。次こそ、手を出しちゃいけないよ。部屋の外で待ってるんだ」
いつもより強い口調で、お兄ちゃんが言った。
…どういうこと?
「何でよ?私、今度こそ皆の役に…」
「駄目。…あれを見るべきじゃない」
「…」
…あれ。
それはつまり…あの保育室で飼われている子供達のことだろう。
見るもおぞましい、蠱毒の壷…。
…そうだね。正直、何度も見たいものじゃない。
だけど、逃げることは有り得ない。
お兄ちゃんが戦ってるのに、私だけ目を背けて逃げるようなことは。
「私も行く。私もお兄ちゃんと一緒に戦う」
「…のぞみ…!お兄ちゃんは、のぞみに辛い思いをさせたくなくて…」
「そんなの、私も一緒だもん。お兄ちゃんだけに背負わせることは出来ない」
これだけは譲らないからね。
さっき役に立てなかった分も、私も頑張って戦う。
私だってお兄ちゃんの力になりたい。
守られてるだけじゃなくて…。私も、お兄ちゃんを守りたい。
それは他でもない、私自身の意志。
「…たまには大人扱い、してやっても良いんじゃないか?」
「女の子って、男の子が思ってるより強いよ」
李優さんと萌音さんが、援護射撃のようにそう言ってくれた。
そうそう。その通り。
「…仕方ない、分かったよ…。でも、無理しちゃ駄目だよ。約束だからね」
「うん」
お兄ちゃんこそ。
それじゃ、私も一緒に行こう。
私はほぼ見ていただけで、やってくれたのは萌音さんと李優さん。
それから、響也さんと…お兄ちゃんだ。
…非常に不甲斐ない。
「ふー。終わった終わった」
萌音さんは、すっかりひしゃげてしまった血まみれの丸椅子を、ポイッと放り投げた。
萌音さん自身も、赤ん坊の返り血がべったりとついていた。
その姿を見ていると、どうにもいたたまれなかった。
「…ごめんなさい、萌音さん」
「ほぇ?何?」
「いえ、その…。ほとんど任せてしまって…」
「?萌音がやっちゃ駄目なの?」
「え?あ、いやそうじゃなくて…」
ほぼ萌音さんに任せてしまったのが申し訳なくて。
それを謝ろうとしただけなんだけど…。
「気にするな、のぞみ。萌音を気遣ってくれてありがとうな」
李優さんが、萌音さんの代わりに私を励ましてくれた。
「あ…は、はい…」
「のぞみ。…大丈夫?」
お兄ちゃんが、私に尋ねた。
「…うん、大丈夫。お兄ちゃんも、任せっきりにしてごめんね。次こそはきっと役に立つから…」
「そんなこと気にしなくて良いんだよ」
…まったくもう。
お兄ちゃんはいつも、そればっかりなんだから…。
…しかも。
「のぞみ…。次こそ、手を出しちゃいけないよ。部屋の外で待ってるんだ」
いつもより強い口調で、お兄ちゃんが言った。
…どういうこと?
「何でよ?私、今度こそ皆の役に…」
「駄目。…あれを見るべきじゃない」
「…」
…あれ。
それはつまり…あの保育室で飼われている子供達のことだろう。
見るもおぞましい、蠱毒の壷…。
…そうだね。正直、何度も見たいものじゃない。
だけど、逃げることは有り得ない。
お兄ちゃんが戦ってるのに、私だけ目を背けて逃げるようなことは。
「私も行く。私もお兄ちゃんと一緒に戦う」
「…のぞみ…!お兄ちゃんは、のぞみに辛い思いをさせたくなくて…」
「そんなの、私も一緒だもん。お兄ちゃんだけに背負わせることは出来ない」
これだけは譲らないからね。
さっき役に立てなかった分も、私も頑張って戦う。
私だってお兄ちゃんの力になりたい。
守られてるだけじゃなくて…。私も、お兄ちゃんを守りたい。
それは他でもない、私自身の意志。
「…たまには大人扱い、してやっても良いんじゃないか?」
「女の子って、男の子が思ってるより強いよ」
李優さんと萌音さんが、援護射撃のようにそう言ってくれた。
そうそう。その通り。
「…仕方ない、分かったよ…。でも、無理しちゃ駄目だよ。約束だからね」
「うん」
お兄ちゃんこそ。
それじゃ、私も一緒に行こう。


